2013年12月16日月曜日

東京五輪を喰いものにする各省庁の事業計画(案)。あきれはててものも言えぬ,とはこのこと。

 今日(16日)の『東京新聞』の一面トップに「五輪でも省庁便乗事業」という大きな文字が躍っている。そして,「おもてなし企業表彰」(経産),「ロケット打ち上げ」(文科),とつづき,さらに「復興予算の二の舞も」,ととどめを指す。

 そして,「五輪関連」として各省庁が検討する事業,の一覧が掲げてある。ほかの新聞はどのように扱っているかは知らないが,その内容のあまりのばかばかしさを確認する意味で,ここにも再度,書き写しておこう。ちまたに飛び交うギャグ「内容がないよう」がそのまま当てはまってしまうところが,笑うに笑えない。まさに,どさくさ紛れの予算分捕り合戦の恐ろしさがある。

 と同時に,恐怖をとおりすぎて,最後には「哄笑」するしかないが,その笑いをこらえて,最後まで我慢して読んでほしい。

 文部科学省:学校体育施設の整備/グローバル人材の育成/社会人の学び直しの推進/文化芸術立国の実現/新型基幹ロケット初号機打ち上げ
 農林水産省:都市農業を活用した農村体験/美しい森林とみどりによるおもてなし/花をめでる日本文化の定着/世界的な食品ロス削減の取り組み推進/山の幸によるおもてなし
 経済産業省:次世代ロボットの普及促進/世界の企業を呼び込む環境整備/次世代自動車の普及促進/おもてなし経営企業の促進/競輪事業の振興
 国土交通省:運転支援システムの高度化
消費者庁:食品ロス削減に向けた国民運動
 環境省:低炭素社会の構築に向けた国民運動

 以上。

 各省庁ごとにコメントをつけようと思ったら,みんな同じコメントになってしまうことに気づき,やめにした。「五輪とはなんの関係もない」の羅列である。よくもまあ,こんな案を「五輪関連事業」として提示できたものだと,その頭の構造の方を疑いたくなる。

 この記事を担当した記者の桐山純平さんは,遠慮がちにつぎのように書いている。
 ・・・・各省庁が実行を検討する五輪関連事業に「おもてなし企業の表彰」や新型ロケット打ち上げなど,五輪と無関係な事業が多く含まれていることが分かった。
 ・・・・各省庁は被災地復興と関係ない事業を復興名目で予算化し批判を浴びたが,「五輪でも便乗」をもくろむ構え。
 ・・・・消費税増税などで国民の負担が見込まれる中でも,予算の無駄遣いが続く恐れがある。

 という具合に,とてもやんわりと批判するにとどめていらっしゃる。しかし,わたしがこの一覧をみるかぎりでは,ひとつとして五輪と関連する事業はない。五輪がなくたって,やらなければならない,緊急を要する事業であればやらなくてはならないだろう。そのために税金を使うのは仕方がない。しかし,やってもやらなくてもどちらでもいいような事業を五輪に便乗して事業化しようというのは,とんでもない。どう考えたって税金の無駄遣いだ。

 ことしの流行語大賞にもなった「おもてなし」が濫用されていて,このことばを加えれば五輪関連事業になる,と思っているらしい。各省庁でいま国民にとって必要な新しい事業を考える人たちが,もし,このレベルだとしたら,空恐ろしい。そうではないだろう。このどさくさにまぎれて,普段では要求のできない予算をちゃっかり確保しようという魂胆なのだろう。こんな,みえみえの田舎芝居を見せつけられる国民はたまったものではない。

 国民を嘗めるのもいい加減にしてほしい。
 こんな五輪関連事業は全部,やめにしてほしい。
 これらに代わるいい案があるだろうに。この代案については,また,稿を改めることとする。

 結論。要するに,各省庁は五輪関連事業をやる気はさらさらない,ということ。あるのは,五輪名目で予算を確保し,甘い蜜を吸いたいだけ。その蜜も夜の蝶に与えるための餌・・・・か。

 脚注:わたしの友人・柴田晴廣さんが,メールで「お・も・て・な・し」は「表なし」のことですよね,と書いてきた。そのこころは? あるのは「裏」ばかり。なーるほど,と痛く納得。東京五輪招致運動の「おもてなし」は,安倍首相の「under control」に象徴されるように,内実はなにもなく(嘘ばかり),あったのは「裏」ばかり(「表」には出せない裏〇ばかり)。笑うに笑えない現実。
 

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