2015年8月20日木曜日

李自力老師の「膝」は円運動をしている? その微妙な動きに注目。

 李老師が久しぶりにわたしたちの稽古に顔を出してくださいました。大勢の選手たちを引率して中国遠征を終えて帰国したばかりとか。からだも,いつもよりは絞られていて,やや細くみえました。聞いてみると,とても疲れて少し痩せたとのこと。気配りの人ですので,さぞや想像以上の心労がたまっているのでしょう。

 にもかかわらず,わたしたちの稽古をしっかりと見守り,指導してくださいました。いつものように率先垂範です。久しぶりに拝見する李老師の動きは,やはり,悠然としていて,ためがあり,美しい。

 珍しく(おそらく,初めて),ショート・パンツ姿で来られましたので,膝の動きがはっきりとこの目で確認でき,とても勉強になりました。

 わたしの目に写った第一印象は,膝が円運動をしている,というものでした。これまでは,いつも,ロング・パンツですので,膝の動きを生でみることはできませんでした。しかし,今回は剥き出しの膝を直にみることができました。

 そうか,膝はあんなふうに動いているのだ,とびっくりしてしまいました。

 それは最初の基本の運動のときに気づきました。

 両手を腰のうしろに組んで,脚を前に運ぶ,いわゆる「運歩」の動作のときでした。左脚加重から右脚に体重を移すとき,右脚の膝はやや外側に出ていきます。いわゆる「がに股」の姿勢です。そして,体重が完全に右脚に移ったときも,まだ「がに股」の姿勢です。そこから左脚を斜め前に送り出すときにやや腰を左に回転させます。そのとき,外に出ていた膝もほんのわずかに回転運動をしながら正面に向かい,つづけてゴンブ(功夫)の姿勢に移りながら膝は内側に入っていきます。つまり,右脚一本で立っている姿勢から,左脚を斜め前に送り出してゴンブの姿勢になるとき,膝はほんのわずかに円運動をしている,とわたしの目には写りました。

 早速,真似をしてみますと,動作がとてもスムーズに流れていくことがわかりました。そのあとの動作も同じです。

 左脚前のゴンブの姿勢から,一度,体重を右脚にもどします。このときは,さきほどのま逆の動作になっています。左脚加重から右脚加重にもどすとき,右脚の膝はまっすぐうしろに引くのではなくて,やや右外側に出るようにほんのわずかに円運動をしています。右脚に加重が終わるとすぐに股関節をゆるめて腰を左側にまわします。このときも右脚の膝はわずかに円運動をして左側に向きを変えています。そして,左脚に加重しながらゴンブの姿勢に入ります。このときも右脚の膝はゆっくりと円運動をしながら,内側に入ってきて,前から押されても,しっかりと踏ん張ることのできる脚の構えになっています。

 以上は,前進するときの「運歩」で起こる膝の円運動です。
 これと同じことが,後進するときの「運歩」にも起こります。こちらの方は前進するときとは裏返しの関係になります。ですので,頭のなかで想像していただければわかるとおもいます。

 こんな大事なことに気づいていなかった我が身を恥じるばかりですが,やはり,ロング・パンツの上からはなかなか見破ることのできない「膝」の円運動だとおもいます。たまたま,李老師がショート・パンツで一緒に稽古をしてくださったお蔭です。

 これまでは「股関節」を緩めなさいという指摘ばかりが念頭にありましたが,膝もまた微妙な運動をしていることがわかりました。こんなことは,とりたてて言われなくても,自然にできるようになってくるものだ,と言われてしまえばそれまでです。それもそのはずで,もっとも自然で合理的な動作はそのように行われているのですから・・・。しかし,ほんの少しだけ意識をそこに向けるだけで,たぶん,容易にその動作を身につけることができるのではないか,とわたしは考えました。

 粗形成から精形成へと,いよいよつぎのステップへの第一歩というところでしょうか。太極拳は奥が深い,としみじみおもいます。これからも精進あるのみ,です。
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