2015年8月5日水曜日

辺野古,一カ月の休戦。政府と沖縄県とが話し合い。いったい,なにが起きたのか。

 突然の政府自民党の方針変更である。あれほど,辺野古の工事は日米合意にもとづき粛々と進める,裁判闘争も辞さない,という強行姿勢を貫いていた政府自民党の,突然の妥協策の提案である。いったいその背景にはなにがあったのだろうか。

 翁長沖縄県知事の方は,辺野古工事認可の取り下げ(第三者委員会の結論)をちらつかせ,かつ,8月下旬には国連人権委員会での演説を控えている。辺野古に関しては,「県外移設」をかかげ,一歩も引かない姿勢を貫いている。アメリカにもでかけロビー活動も展開してきた。日本のメディアはほとんど相手にされなかったと報じたが,じつは,アメリカ議会の要人たちのこころを動かした,という報道がアメリカではなされていたという。

 日本政府が日米合意を楯にして,強引に辺野古新基地建設をすすめていけば,日本政府のみならず,アメリカ政府もまた沖縄県民の民意を無視する人権問題に加担することになり,国際的な批判を受けることになりかねない。それほどに,沖縄県が張りめぐらせてきた外交戦略は,ここにきて徐々に功を奏しているようだ。

 しかも,アメリカにとって沖縄の米軍基地はもはやそれほど重要ではなくなってきている,という観測も聞かれるようになってきた。しかも,沖縄に米軍基地を置くことによって,不必要な緊張を生みだすのはアメリカにとっても百害あって益少なし,とも言われている。ましてや,抑止力としての機能はまったくはたしていない,というのがアメリカの軍事専門家たちの意見である。

 これまでにも,米軍基地を沖縄から引き払うという提案はアメリカ側から複数回にわたって提案されてきた経緯もある。しかし,そのつど,日本政府は沖縄に米軍基地を置くことを「懇願」し,こんにちにいたっている。いまでも,海兵隊はグアムに引き上げたい,というのがアメリカの本音だという。それを「阻止」しているのは「アベ政権」だ。

 いまも,「戦争法案」の審議中に,しばしば,南シナ海や尖閣諸島を引き合いに出して,危機意識を煽り,ここに睨みを効かせているのは米軍基地であり,米軍による抑止力なのだ,と繰り返し答弁している。これもまたアベのでっちあげたご都合主義の演出にすぎない。しかし,野党議員たちのシンク・タンクがお粗末なために,このまやかしを論破することができないでいる。情けないかぎりである。

 なにがなんでも「戦争法案」を押し通そうという折も折,突然,辺野古の工事を一カ月中止して,政府と沖縄県との話し合いをしようという。いったい,なにごとがあったというのか。

尋常一様ではない,なにかが起きている,とみるのが自然だろう。アベ政権がもっとも素直に行動を起こすのは,アメリカ政府の意向だ。これまでのアベ政権の実績がそれを証明している。もうすでに一カ月も前から水面下の交渉はつづいていたという。

 もっとも,アベ政権支持率の低下の歯止めがなかなかうまくいかない。新国立競技場の「白紙撤回」も,「当たり前だ」と受け止められ,さして効果はでていない。そこに,辺野古の1カ月休戦だ。もっとも素直に考えてみれば,政府与党の苦肉の策で,やはり支持率回復が念頭にあるのでは・・・・というのが大方の推測だ。しかし,こんな後手,後手の,とってつけたような対策で支持率が回復できるとおもっているとしたら,なんと甘いことか。

 ここはやはり,アメリカからなんらかの指示があって,それを受けてのアベ政権の方針転換(それが一時的なものであれ)ではないか,というのがわたしの見立てである。

 この一カ月,どのような推移をたどるのか,みものではある。そして,メディアがどのように報道するのかも,みものである。とくとお手並み拝見というところ。

 沖縄県民の期待は否が応でも高まること間違いなしなので,アベ政権が打つ手を間違えると,命取りになりかねない。その他にも,ヒロシマ,ナガサキ,敗戦記念日,という重要なイベントがつづき,政局も重大な局面を迎えている。目覚めた国民の意思表明も次第に熱くなってきている。この夏は,日本国の命運をかけた「関が原」の戦いになるだろう。その意味でも,あだやおろそかに無為の日々を送ってはならない,と気が引き締まる。

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