2011年3月29日火曜日

『原発時限爆弾』の著者広瀬隆の現状認識を聴いて,愕然とする。

 知人に,広瀬隆のロング・インタヴューがYou Tubeで流れている(videonewscom・神保哲生)のでみておくようにと教えられ,早速,それをみた。1時間17分22秒の映像に,まるで金縛りに会ったかのように。そして,ついでに,3月23日に早稲田大学で行われた「福島原発現地報告と『原発震災』の真実」という広瀬隆と広河隆一の二人のセッションまでみてしまった。こちらは,2時間4分40秒。見終わったときには,からだの芯まで冷えきってしまって,しばらくはものも言えなくなってしまっていた。
 このブログをとおして,ひょっとしたら,原発はもはやどうにもならないのではないか,と危惧していたことが広瀬隆によって,みごとに説明されてしまった(ということは,わたしは納得してしまったということ)からだ。くわしいことは,神保哲生のvideonewscomにゆずるとして,一点だけとりだして紹介しておくと以下のとおり。
 原発は鎮圧可能か否か,と問われたら「可能」という方に賭けるしかない,という。そうしないと,このあとの議論が成立しなくなってしまうからだ,と。でも,その確率はきわめて低いのだ,と。なぜなら,福島原発は,全部で10基ある。そのうちの1号機から4号機までが,いま,きわめて危険な状態にある。その4基を鎮圧できる確率は,それぞれ1基ごとに「可能」か「否」かの二分の一でしかない。ということは,4基全部鎮圧できる確率は,0.5×0.5×0.5×0.5=0.0625になる。つまり,100分の6の確率でしかない。しかも,1基が核分裂をはじめれば,連鎖反応を起こして,すべては終わりになる,という。つまり,6基が全部,いってしまう,というのである。となると,チェルノブイリの10倍ではきかない被害が予想される,という。これだけでもう身の毛がよだつ。
 その上,こういう原発が全国に50基ある。それらが4っつのプレートの噛み合った日本列島に散在している。今回の大地震は太平洋プレートの活動によるもので,地下1000㎞だったので,地震の震度そのものによる被害よりは津波の被害の方が大きかった。が,その他のプレートが活動したときの地震は,ほとんどが直下型の揺れになる。そうなると,原発におよぼす影響は強烈なものになる,という。しかも,地震はどうやら活動期に入ったらしい,という。太平洋プレートがこれだけ大きく動いたということは,その分,他の三つのプレートにも大きなひずみがきているのだから,そのひずみ分は,かならず,いつかは地震となって現れる。
 だから,日本列島は,まだ,40基もの原発が働いているのだから,これは「時限爆弾」をかかえているのと同じことだ,という。このことをまじめに考えれば,だれだって,原発を直ちに停止させ,廃炉にしなければならない,という結論にいたるだろう。なのに,相変わらず,全国の原発を停止させるという話にはならない。これはとても不思議なことだ,と広瀬隆はいう。
 のみならず,青森県の六ヶ所村には,すでに3000本の使用済み燃料棒が,大きなプールに保管されている,という。もし,大きな地震がきて,ここに電気系統のトラブルが発生したら・・・・,と考えるだけでもう恐怖で夜も眠れない,と広瀬隆はいう。
 ここからさきの話はもうやめよう。わたし自身が意気消沈してしまう。
 もはや,手の打ちようがないのだ。手詰まり状態で,あとは時間かせぎ・・・。ということは放射能はじゃじゃ漏れ状態にしながら,どこまで時間をかせぐことができるのか・・・。それをじっと見守っているのみ・・・。ただひたすら燃料棒の溶融を遅らせるための「放水」による冷却しかない,のだとしたら・・・。
 「神のみぞ知る」と,つい,うっかり口が滑ってしまった〇〇副大臣の発言は「本音」だったのだ,ということがよくわかる。第一,「臨界」ということばの意味を,東工大出身の首相が知らなかった,というのもなんとも情けないかぎり。なんで,こんな政権のときに,こんな事態が起きてしまうのか,それこそ「神のみぞ知る」ではないか。悔しいことに。

 原発問題については,これを最後に,このブログでは書かないこととする。
 なぜなら,奈落の底に向って突っ走る電車の話はしたくないからだ。
 その代わりに,奈落の底から這い上がるためにはどうしたらいいのか,そのためのロジックを考えてみたい。
 

0 件のコメント: