2011年3月13日日曜日

節電に協力する店舗,無視する店舗。

 昨日(12日)から,事務所からの帰りの道がどこか違うなぁ,と感じていた。今日も,あれっ?と思いながら,あちこち観察してみた。
 事務所から帰るのは午後7時30分。いまの時期だから暗い。あちこちにネオンや店舗の看板に明かりがついている。が,どうも様子が変だ。まず,最初に気づいたのは,ガソリン・スタンド。二日つづけて休みなのだろうか,と。明かりがほとんどなくて,事務所だけが電気がついている。よくよくみると,いつもの人たちが中にいる。外にも従業員が,制服を着て,なにやら作業をしている。ああ,営業しているんだ,と気づく。少し行くと,二件目のガソリン・スタンドがある。ここは,半分だけ明かりが消えていて,営業をしている。ここで,あっ,と気づく。節電しているのだ,と。
 それから,こんどは意識してあちこち見回してみる。
 わたしは感動した。あちこちの,いつも点いている店の看板のほとんどが消えている。スーパー・マーケットやコンビニの明かりも,外の看板は消えている。
 ここで初めて,ああ,節電に協力しているのだ,と納得。
 行政指導でもあったのだろうか,あるいは,まったくの自主的な行動なのか,一瞬,考えたりした。しかし,そんなことはどちらでもいい。実際に,このように節電に協力しているのだ。この事実だけで十分だ。
 日本人は偉いなぁ,と今日はしみじみと思った。いざ,一大事となると,みんなみごとに一致団結する。そして,自分のできることは率先してはじめる。いつもの,あの無責任な,自己中心主義がどこかに影を潜め,善意が全面にでてくる。ああ,まだまだ,日本人は捨てたものではないなぁ,とわが身をふり返る。
 溝ノ口の駅を降りてきたら,若い人たち(どうみても20歳代の前半の人たち)が5~6人が,横一列に立って災害者支援のための募金運動をやっている。にわかづくりの募金箱を,それぞれ手に持って,被災者のためにご協力を,と大きな声で呼びかけている。思わず,一人ひとりの顔をじっと観察してしまう。しっかりとした顔立ちの,確たる信念のもとに,ここに立って募金を呼びかけている,という若者たちにみえた。大きな声で,順番に,協力を呼びかけている。
 しかし,一点だけ気になることがあった。それは,募金運動をしている人たちの身元がわからないということだ。どういう人たちが,この募金運動をしているのだろうか,とわたしなどは考えてしまう。それがわからないと募金がしにくくなってしまう。なんでもいい。身元を明らかにしてほしい,と思った。〇〇大学OB会,とか。〇〇商店会青年部,とか。高津警察署公認,とか。高津区役所公認,とか。なにか,方法はあるだろう。どこかに認知された団体であることを明示してくれると,どこか安心する。この溝の口駅前には,ときおり,怪しげな団体を名乗った募金活動が展開されることがあるからだ。「被災者を支援する会・代表者〇〇」と明示してくれるだけで,わたしなどは安心するし,喜んで協力したいと思う。
 でもまあ,こうして自発的に募金運動を開始する若者たちがいる,そして,いま,目の前で立ち上がって活動をしている,この光景はわたしは嬉しかった。日本も捨てたものではないなぁ,と。駄目な部分もたくさんあるが,ふだんは隠れている善意の人たちが,いざとなると立ち上がる。また,それに協力する。そういう人たちがまだまだたくさんいる。それを確認できただけで,今日は幸せだった。

 このことは書こうかどうか,とても躊躇したのだが,事実なので書いておこうと思う。
 わたしの事務所から最寄りの駅までの間には,ファミリー・レストランが3軒,有名和食店が1軒,大きな駐車場をもつ寿司屋さんが1軒,そして,同じく大きな駐車場をもつ焼き肉店が1軒。そのいずれにも,一度ならず,入ったことがある。みんないい店ばかりである。が,この中で1軒だけ,いつもと同じように明々と店の看板に明かりを点けて,営業をしている店があった。それは「焼き肉店」だった。よくよく考えてみると,昨日の夜もそうだった。明日の夜はどうだろうか,もう一度,しっかりと確認してみようと思う。この店の経営者はなにを考えているのだろうか。まわりの景色がみえていないのだろうか。節電など眼中にないのだろうか。
 こういう人も中にはいる。それは仕方のないことかもしれない。しかし,気づいてほしいなぁ,としみじみ思う。
 
 今日はとても暖かい一日だった。春の日和だった。だから,わたしはごく自然に,エアコンは要らないなぁ,と思って電源を入れなかった。でも,途中から,やはり少し寒いなぁ,と思ったがエアコンを点けることはやめにした。節電ということがほんの少しだけ頭のすみにあったから。そこで,一枚,上着を多く羽織って我慢することにした。これで十分であった。これからも,ごく身近なところからできる努力をしていきたいものだと思う。
 いまは,なにはともあれ,日本中の善意を集めて被災者支援に向けて力を合わせる時だ。わたしもその中のひとりでありたいと思うから。そして,もっとできることはないか,これから考えていきたいと思う。
 明日から,大きな企業も勤務体制のシフトを組み換えて,いろいろのアイディアを実行に移すという話も友人から聞いた。日本全国が一致団結して,いま起きている,どれほどの災害であるのかすら把握できないほどの大きな「できごと」に対峙していくしかない。みんなで日本人の原点に立ち返り,困った人を助ける「こころ」を取り戻したいと思う。
 自分さえ儲かればいい(得をすればいい)という精神に決別する時がきた,とひとりでも多くの人が気づくことを願いたい。まずは「かい(漢字がみつからない)より始めよ」,と。

0 件のコメント: