2011年3月13日日曜日

大相撲,夏場所を「チャリティ」として開催しよう。

 地震の被災地が,まだ,こんな情況なのになんということを・・・と叱られるかもしれない。しかし,いまはなりふり構わず,できるところからやっていくしかない。そして,そのためのアイディアもまた必要ではないか。
 大相撲もこの際,思い切って「八百長疑惑」に結着をつけて,つぎのステップを踏み出そうではないか,そのためのきっかけとして夏場所を被災地へのチャリティ相撲に切り替えて開催してはどうか,と提案したい。同時に,500億円とも言われる法人備蓄金も,被災地に寄付してはどうか。さらに,場所と場所の間は,力士全員参加で被災地への救援活動(ボランタリー)を展開する。その上で,こんご「八百長はしない」という誓約書にサインをして,心身ともに潔白を誓うこと。そのくらいの決意表明をし,O(ゼロ)から出直す,そういう姿勢を示す,それが一番と考えるのだが,いかがなものだろうか。
 大相撲のいまのような興行形態の土台ができあがったのは,江戸時代後期の「勧進相撲」という興行形態であった。江戸の大火事で罹災した人びとを救済したり,老朽化した神社仏閣の建物を再建したりする,という大義名分を立てて,幕府に興行許可をえて開催される相撲興行,それが「勧進相撲」といわれているものの実態だった。
 この際,大相撲は,その原点に立ち返って,そこから出直しをしてはどうか。そして,興行で稼いだ金を備蓄などしないで,どんどん社会に還元していく。それこそが「公益法人」の資格に相当するのではないか。
 昨日のブログにも少しだけ書いたが,雷電為右衛門は,江戸に大火事があると,必ず焼け跡に出向き,みんなに激励の声をかけながら一緒に片づけ仕事を手伝った,という。もともと正義感の強い人だったので,農民一揆の片棒をかついだり(力士になる前の話),江戸の庶民が悪代官に苦しめられていれば,庶民に加勢して抗議を申し入れたり(ついには,牢屋に入れられることも),といったことの延長線上に,火事の焼け跡に立つ,というかれのスタンスがあった。この時代の力士は,ひとりの人間として自立していたのである(この点については,いつか,詳しく触れてみたいと思う)。
 だから,今回の大地震を契機にして,力士は,もっともっと社会にでて,困っている人びとと起居をともにしながら,救援活動をおこなうこと,それがどれほど人間としての成長に役立つことか,いまさら言うまでもない。それどころか,力士と呼ばれている人たちの人間性を,世間一般の人たちに知ってもらう,とてもいい機会であると思う。この人たちは,ほんとうに心根の優しい,お人好しが多いのである。一般には,土俵の上の,極度に緊張した怖い顔の印象が広く知られているので,力士は怖いと思っている人も少なくない。が,ほんとうは違うのである。
 神戸の大震災のときにも,意外なことに,大活躍したのは「ヤンキー」と呼ばれる若者たちだった。その結果,世間の「ヤンキー」をみる眼が変わった。みかけはともかくとして,人間は「素」にもどると,みんな優しいのである。そして,みんな,困った人がいたら助けてあげたい,という気持ちをもっている。それをなかなか素直に表現できないだけのことである。
 地震の被災地が落ち着いてきたら,力士は,みんなで救援活動に参加しようではないか。得意の「ちゃんこ」でもつくって「焚き出し」で激励することは,力士ならみんなできる。そこを基盤にして,少しずつ救援活動の場を広げてゆけばいい。どれほど,被災地の人びとが喜ぶことか。こどもたちも元気を取り戻すに違いない。これを巡業の代わりにしたっていい。
 こうして人びとに愛される力士となること,人間として信頼される人になること,そして,絶えず社会との交流の場を維持しつづけること,それこそが「八百長疑惑」を晴らす,もっとも手っとり早い方法だと考えるのだが・・・・。人びとに愛され,信頼される力士となれば,八百長などやってはいられなくなる。
 夏場所を開催しよう。5月,両国国技館で。「チャリティ大相撲」と銘打って。そして,八百長に「さよなら」宣言をして。
 そうすれば,ふたたび国技館に「満員御礼」の垂れ幕が下がることだろう。もちろん,熱烈なファンからは「八百長をするんじゃないぞぉ!」と厳しい声援も飛ぶだろう。それでいいのだ。厳しいファンの声援と眼が,力士の姿勢を質していく最良の薬なのだから。この関係をきちんとつくっていくことが,八百長を撲滅していくための,まずは第一の,手始めの方法ではないか。この関係を取り戻さないかぎり,他のどのような合理的な改善策が提示されようと,それは絵に描いた餅と同じだ。じっさいにはなんの役にも立たないだろう。
 夏場所で金を稼いで,その金を手土産にみずからのからだを奉仕すること,大相撲復活の道はここからだ。そのためになら,わたしも最大限の応援をしたい,と思う。
 

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