2013年1月23日水曜日

戻ってきた日馬富士のパワーとスピード。この相撲は芸術だ。

 日馬富士の相撲がもどってきた。全勝優勝して横綱を手にしたときの相撲がもどってきた。心技体ともに申し分なし。今場所の日馬富士の相撲は,もはや,芸術の領域に入ったと言ってよいだろう。パワーあり,スピードあり。立ち会うまで,どんな相撲になるのかはだれにもわからない。おそらく,本人にもわからないだろう。からだが勝手に反応する,そういう域に入った,とわたしはみている。絶好調そのもの。

 白鵬も調子を上げてきた。こちらも心技体のバランスがいい。相撲に迷いがない。思いのままに相撲が取れている。前に出る圧力があるので,あの左からの上手だし投げが鮮やかに決まる。

 こうなると,千秋楽が楽しみだ。おそらくは,日馬富士が全勝で,白鵬が一敗という星勘定のまま千秋楽に激突することになるだろう。それほどに,この二人の相撲は群を抜いている。

 白鵬が右から張って,すばやく左上手をとるか,そうはさせじと日馬富士が立ち合い鋭く右のどわで攻めておいてから左上手をつかむか,ここらあたりが勝負の分かれ目になるだろう。

 できることなら,日馬富士の「後の先」の立ち合いがみたい。立ち合いに白鵬が右から張ってでてくるのを一瞬,遅く立って,空振りにさせ,白鵬の体が右に回転したところで,左上手をつかみそのまま出し投げを打ち,後ろに回って送り出し,という何場所か前にみせた相撲である。この相撲を初めてみたとき,あっ,日馬富士は白鵬を超えたと思った。以後,日馬富士が絶好調のときには白鵬はいつも後手にまわって負けている。

 しかし,日馬富士は両足首に時限爆弾をかかえこんでいる。この足首に問題が生じたときは,日馬富士の相撲が荒れる。そして,星勘定に苦労することになる。先場所がそうだった。後半戦はとくにひどかった。こういうときは,白鵬に完敗する。スピードもパワーも出せないからだ。しかし,今場所はどうやら大丈夫のようだ。

 横綱土俵入では両足首ともにテーピングなしで勤めているし,四股を踏むときもしっかりと足を踏み込んでいるが,本割の土俵では,ときおり左足首にテーピングがなされている。やや不安があるということなのか,いささか心配ではある。この不安さえなければ,今場所の千秋楽の激突は,白鵬も調子がいいだけに,面白くなりそうだ。どうか,お互いに絶好調で対決してほしいものだ。そうなると,歴史に残る名勝負になる。あの,横綱昇進を決定づけた白鵬との対戦のように。投げ勝ったにもかかわらず,日馬富士は疲労困憊でしばらくは立ち上がることすらできなかった。土俵を一周する投げの連続で,すべての力を出しきる,渾身の投げ。こんな相撲は二度とみられないと思うほどの強烈なものだった。それが,どうやら,今場所,ふたたび見ることができそうだ。

 残り5日間。4大関1横綱との対決がはじまる。今場所は珍しく稀勢の里が元気なので,この人が台風の目になるかもしれない。それも,かれの得意の型に持ち込むことができれば,という条件つきでの話である。相撲そのものの力でいえば,両横綱の次元にはまだまだ遠く及ばない。が,なにかの拍子で左からのおっつけが効を奏するようなことが起きると,一瞬,相撲が面白くなるだろう。しかし,それでも,いまの両横綱にはさばかれてしまうだろう。

 これからの5日間は目が離せない。時間があったら場所に通いつづけたいところだ。が,残念ながら,金曜日から関西へ出張である。仕方がない。関西のどこかでテレビ観戦することにしよう。

 日馬富士と白鵬の,歴史に残る,芸術的な,相撲の粋をすべて出し切るような熱戦を,千秋楽で期待しよう。

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