久しぶりに長い旅をし,そこからもどってきました。
この旅の期間中,初日だけ,夜の部が予想外に延長しましたが,あとの日の夜をきちんと眠りましたので,いまは元気いっぱい。明日からいつもの日常にもどることができそうです。
そのご報告を兼ねて。その内容の概要は以下のとおりです。
11月26日(金)・名古屋。椙山女学園大学で特別講義。テーマは「ふたつの身体を生きるわたしたち」──動物性の身体と人間性の身体の間(はざま)で揺れる「生」の表出=「スポーツする身体」。90分。
昨年,この特別講義で失敗したという反省に立ち,二度と同じ失敗はしない,とみずからに言い聞かせて臨んだ講義です。それでも,最初は,かえって緊張してしまって固い話になってしまい,これではいけない,と途中で何回も気持ちを切り換えたりしながら,必死でした。後半に入って,それも,終わりに近づいてようやくゴールに向けての落しどころがみえてきて,ちょっとばかり安心。最後の5分ほどは,かなり濃縮したいい結論に持ち込めたのでは・・・とほんの少し安堵。
この結果については,学生さんたちから,どんな感想がでてくることか,心配と期待が半々。
椙山女学園大学の学生さん以外にも,他大学の学生さんが聴講にきてくれたことが,今回のなんともありがたいことでした。それから,大学の先生方も何人か聴講してくださり,その分,緊張しましたが,わたしの話をしっかりと受け止めてくださったようで(終わった直後にお話をうかがいました),ほっと胸をなでおろしています。
11月27日(土)・奈良の大和郡山に移動。第24回スポーツ史学会大会。第一日。一般研究発表とシンポジウム。懇親会。
シンポジウム「社会史以後のスポーツ史研究」──英国スポーツに見る<伝統>と<近代>,を楽しみにして多くの人が集まったようにおもう。久しぶりに見慣れない人の顔が多く,さすがに川島昭夫先生(京都大学教授)の集客力のすごさを感じた。その期待に応えるかのように,「アンティクアリニズムとスポーツ」──ジョゼフ・ストラットJoseph Strutt(1749?──1802年)と『イギリス国民のスポーツと娯楽』,という川島先生のお話は充実したものであった。わたし自身も,これまでに抱いていたStrutt像を一変させられた。わたしなどは,ごく単純に百科事典的な本である,と勝手に解釈して,そこで取り扱われている内容に奇異な興味をいだいていたものである。しかし,それはまったくの間違いで,なによりもまずは,「アンティクァリ」としてストラットを受け止めなくてはならない,ということを教えていただいた。そして,そういうことであれば,わたしの抱いていた奇異な感じもみごとに解消されてしまう。それほどに鮮やかな視点の提示であった。わたしたちスポーツ史研究にたずさわるものの欠落している,イギリス史の専門家の知見は,とてもありがたいことである。川島先生にはこころから感謝したい。
しかし,問題は,そのあとだ。お二人のパネリストのお話が,それぞれ個別に独立していて,シンポジウムになっていかない。お互いの接点がどこにも見当たらないのである。これは今後の課題として,真剣に考えるべき事態である,とわたしは考えている。この問題はいずれきちんと語ってみたいとおもう。
懇親会では,久しぶりに川島先生とお話するごとができて,幸せだった。しかし,これから話が佳境に入るというところで,わたしたちの間に割って入ってきた会員がいて,不幸なことに話は中断してしまった。少し掘り下げたお話がしたかっただけに残念の極み。また,いつか,川島先生と,こんごのスポーツ史研究のあり方などもふくめて,お話できる機会をつくりたいものだとしみじみおもった次第。
11月28日(日)・奈良・大和郡山。第24回スポーツ史学会大会・第二日。一般研究発表と総会。
今回はわたしとしては珍しくまじめに一般研究発表を聞かせていただいた。だから,個別にきちんとしたコメントをつけたいところではあるが,割愛する。理由は,あまりに膨大なブログになってしまうから。ひとことだけ述べておけば,それぞれの歴史事象を切り取り,それを解釈していく上での「方法論」(とりわけ,思想・哲学的なバックグラウンドに支えられた方法論)に磨きをかけていかないと,単なるお話に終わってしまう,ということだ。
11月29日(月)・横浜。東京八時会(高校時代の同期会)。第一日。よこはま・みなとみらい周辺を散策。横浜中華街の中華レストランで懇親会。
こちらは,ごく個人的な会合のお話なので,省略。
11月30日(火)・東京八時会・第二日。逗子・漆工房見学。昼食・解散。
同上の理由により,省略。
さて,明日からははや12月。もう,師走。「困ったことにとちょとなりにけりやがな」というアチャコの名セリフが脳裏をかすめていく。そんなことを言っていてもはじまらない。一つひとつ,目の前の仕事を片づけていくしかない。いよいよ勝負の月となる。その覚悟で臨むのみ。
と,まずはみずからを叱咤激励して,11月最後の今日のブログはおしまい。
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