2014年5月22日木曜日

白鵬に土。いよいよ大相撲が面白くなってきた。ここからが星のつぶし合い。

 白鵬に土がついた。負けるはずのない相手に,墓穴を掘るような負け方だった。勝った豪栄道を褒めるべきだが,こんな雑な相撲をとった白鵬はみずから敗因をつくってしまった,というのが実情だ。この相撲をどうみるか。

 白鵬は取り組み後に「勝負あったと思った」と言ったそうだが,それは言い訳にすぎない。今日までの白鵬の相撲をみていてそう思う。相手を寄り切って,自分も土俵の外にでているのに,相手をさらに土俵下に突き落とした(つまり,駄目だしをした)相撲があった。なんということをするんだ,とわたしは憤った。また,相手を一直線に電車道を走るように寄り切って勝負がついているのに,勢い余ってそのまま土俵下まで転げ落ちていった相撲もあった。なにをやってるんだ,とわたしは独りごちた。

 今日の一番は,肩すかしを引いた白鵬の体勢も崩れていて,土俵際まですっとんでしまった豪栄道を,あと一押しするだけの体が残っていなかったのだ。だから,慌てて突き出そうとした。その崩れたままの体をいなされた。こんどは白鵬が土俵際まで飛ばされた。かろうじて残し,振り返ったときには,もう豪栄道の思いのままだった。

 白鵬は強い。他の力士とは格段の差がある,そういう強さがある,と解説の元力士たちは口を揃えて言う。そして,その強さを見せつけることに生きがいを感じているのではないか,と解説者はみんな口を揃えるようにして言う。あまりにみんながみんな同じことを言うので,これは日本相撲協会の興行上の戦略ではないか,とわたしは勘繰っている。

 わたしの眼には,白鵬は焦っているように見える。実力的にはもはやそんなに大きな差はない。それに以前のような長い相撲をとるだけのスタミナに自信がない。だから,できるだけ早く勝負の決着をつけてスタミナを温存しようとしているように見える。だから,土俵下にいるときから眼はぎんぎらぎん。土俵に上がるとさらに目つきが鋭くなり,相手を威圧するかのように睨み付ける。そして,立ったらすぐに攻撃にでて,一気に勝負をつけようとする。それで,地位の低い力士には通用する。しかし,上位の力士にはそうはいかない。その好例が今日の豪栄道との一番だ。

 さて,残るはあと4番。2大関,2横綱との対戦を残すのみだ。白鵬がほんとうに強いかどうかは,この4日間ではっきりする。とりわけ,明日(22日)の稀勢の里との一番がみものだ。大関がここまで落ち着いた相撲をとってきているので,明日あたりひと波瀾あってもおかしくはない。けんか四つなので,立ち合いがみもの。そして,得意の組み手になった方が有利。

 先場所は,鶴竜に突きたてられて,なすすべもなく負けている。鶴竜の今日のような低い立ち合いから,思い切った突っ張りが炸裂すると面白くなる。日馬富士も,前半の負けが嘘のように,スピードに乗ったいい感じの相撲がもどってきている。千秋楽の一番は日馬富士も燃えるだろう。となると,終盤の白鵬は先場所と同様に黒星を重ねることになりかねない。

 こういうことが白鵬の念頭にあるために,前半戦はどんなことがあっても取りこぼしをするわけにはいかない,という引くに引けない強い決意が,最初から顔に現れていた。ただ,それだけのこと。それほどに焦っている,というのがわたしの見立て。

 これは,以前からのわたしの持論であるが,白鵬がひとりダントツに強いのではなくて,他の力士が弱すぎた,ただそれだけ。ところが,ここにきて他の力士が力をつけてきた。そして,肉薄するようになった。しかも,調子のいいときの日馬富士には勝てない。鶴竜にも,先場所をみるかぎりでは,実力的には超えられてしまった。この二人に勝つための先制攻撃が白鵬にはない。だから,先手がとれない。どうしても受けにまわってしまう。そこが白鵬の大問題だ。

 さて,明日からの星のつぶし合いが熾烈になる。その最初の難関が稀勢の里戦だ。お互いの実力が伯仲してきたので,まったく予断を許さない。だからこそ面白い。これぞ大相撲の醍醐味。

 残り4日間。存分に堪能することにしよう。
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