しばらく前に,カダフィ独裁政治を擁護する外国の女性ジャーナリストのコラムを読んで,びっくりしたことがある。彼女の言うには,仕事がらみで,かなり長い間,リビアで生活していたが,とても住みやすいいい国だった,というのである。周囲の人びともみんな満足して,平和な暮しをしていた,という。だから,なにゆえに,こういう事態になったのか不可解である,と。ただ,独裁が悪いということだけで,こういうことになったとはとても思えない,とも。つまり,なにか裏がある,ということを暗示するかのように・・・・。
そのあと,また,しばらくして, You Tube のカダフィ大佐関連の映像を拾いながら眺めたことがある。殺害現場の生々しい映像(カダフィ大佐が頭から血をながし,顔の左半分が真っ赤になっている。その血を,カダフィ大佐が自分の手で拭って,血であることを確かめている映像から,自動車のボンネットの上に坐らされて,暴力を受け顔をゆがめ,涙を流している顔も,そして,死体置き場に横たわった,上半身裸のままのものまであって,途中でみるのを止めたほどである)を追っていて,その関連の映像をクリックしたら,ものすごく激した演説をぶっているスーツにネクタイをした元気のいい紳士が現れた。
そして,この映像の紳士(どういう人物かは確認できていないが,いまでも映像をみることはできる。すでに,かなり編集されているが・・・。たぶん,カダフィ派の高官ではないかと思うのだが・・・)が言うには,カダフィ大佐はEUの手で殺されたのだという。そして,その演説がまことに理路整然としているので,これまたびっくりである。その彼の演説のすべてをここに紹介することは無理なので,その骨子だけを紹介すると以下のとおりである。
EUには,カダフィ大佐を殺さなくてはならない理由が三つあった,という。
一つは,アフリカ独自の通信衛星をもつという計画。現在は,毎年,5000億円の金をIMFに支払って,通信衛星の利用をさせてもらっている。しかし,4000億円を用意すれば,自分たちの(アフリカ連合)の通信衛星をもつことができる。そのうち,3000億円をカダフィ大佐が出す,と2007年に約束して,その準備が着々と進んでいた。これが実現すると,IMF(つまりは,EU)に毎年入る5000億円の儲けがなくなってしまう。
二つめは,アフリカ独自のAMFをつくって,IMFの支配下から脱出しようという計画である。これもカダフィ大佐が巨額の資金を提供することを,すでに,2006年に約束していた,という。これと連動して「中央アフリカ銀行」と「投資銀行」をつくり,アフリカが一つになって団結しよう,という計画がすぐそこまできていたというのである。そうなれば,アフリカ諸国は,EUの,そして,IMFの傘下から脱出して,自分たちの意志で,自分たちの利益のために金を動かすことができる,というわけである。
三つめは,アフリカ独自の通貨をつくろう,という計画。もう,意図は歴然としているように,ユーロに対抗するアフリカ全域で通用する新通貨の創設である。そうして,完全にEUの支配下から脱出して,アフリカ独自の経済システムを構築しようというのである。これもまた,カダフィ大佐の莫大な資財をなげうって,計画を進めていたというのである。そして,すでに,アフリカ諸国の同意もとりつけて,いよいよ動きはじめようという時期だった,という。
このことに気づいたEUが黙っているわけがない,とくだんの紳士がぶち上げる。そして,EUはすでに没落していて,頼るはアフリカ諸国からの「儲け」以外になかったのだ,という。だから,なにがなんでも,その主役を演じているカダフィ大佐を「悪者」に仕立て上げて,これを「亡き者」にしなければならなかったのだ,と断言する。
しかも,この映像は,だれが編集をしたのかもわからないが,リビアはとてもいい国であったということを16箇条にわたってテロップを流している。その中には,リビアは,電気代は無料,教育費・医療費も無料,借金をしても金利はゼロ,石油1リットル10円,赤ん坊が生まれると50万円支給,・・・・とあって,最後には,石油の売り上げ利益の一部を国民一人ひとりの預金通帳に振り込んでいた,などといったことが羅列してある。
もし,これがほんとうだったとしたら,なにゆえに,あのような暴動が起きたのか,そして,それが成功してしまうのか。この裏にはなにかが隠されている・・・のでは,とわたしは勘繰ってしまう。ひょっとしたら,これは,アメリカの得意の手ではないか,と。アフガンも,イラクも,用いた「手」は違うものの,そのやり口は同じだ。それと同じ「手」を,こんどはEU主導で(もちろん,裏にはアメリカがいる)打ったのではないか,と。考えてみると,NATO軍が,とても不思議な軍事行動を起こしていたことが思い起こされる。攻撃するのかしないのか,民衆の動きを見届けながら,微妙な動きをしていたように思う。やるなら,一気にやってしまえばいいのに・・・・。ところが,最後のとどめは民衆の手に委ねた。そして,いかにも,リビア国民の意志で,この暴動が起きたのだと「演出」したかったのでは・・・,と。
こんどのギリシアの金融危機の救済措置をめぐるEUの対応をみていて,どうして,こんなにまでヒステリックになるのか,と思っていた。ギリシアの「国民投票」まで許さぬ,というのである。ここで,ギリシア国民が「EU脱退」を選択したら,EUの牙城の一角が崩れ落ちることになる。そのあとは,スペイン,イタリア,といった国々が危ない。あるいは,フランスもドイツも危ないのかもしれない。となると,なにがあってもギリシアはEU主導で,その救済策に従わせなくてはならなくなってくる。もう,そういうEUの経済危機は,かなり前から予測されたものだったはずだ。だから,急遽,4首脳が集まって(なぜか,ここにオバマ君がいる),ギリシアにプレッシャーをかける必要があったのだろう。
そういう予兆が早くからあったがゆえに,ヨーロッパの「ドル箱」だったアフリカ諸国が,「アフリカ連合」を立ち上げてEUの傘下から自立してしまうことを,なにがなんでも回避しなければならなかった。だからこそ,リビアの民衆暴動を起こさせ,カダフィ大佐の独裁をターゲットにして攻撃を仕掛ける・・・・。ありそうなことではないか。そうして,ふたたびアフリカ諸国をEU傘下に統治することの正当性を主張していく。
それがまんまと成功してしまった。が,このあとが大変だなぁ,とわたしはみている。もし,この仮説が当たっているとしたら,リビアの新政権は安定どころか,あちこちから「テロ攻撃」の対象となるに違いない。つまり,カダフィ大佐が「善政」を行っていたとしたら(さきの演説者や女性ジャーナリストの言うように),相当に多くの「親カダフィ派」が生き残っているはずだから。
それにつけても,ここで想起されるのはナオミ・クラインの『ショック・ドクトリン』だ。この本のサブ・タイトルにもなっている「惨事便乗型資本主義の正体」が,いま,わたしたちの,いや,世界中の人びとの目の前で,その姿を剥き出しにして,一大スペクタクルを演じつつある,ということだ。このどさくさまぎれに,なにを「正義」として立ち上げ,新たな支配の論理を構築していくのか,わたしたちはしかと見届けておく必要がある。
しかも,これは対岸の火事ではない。日本はいま,大災害と原発という,前代未聞の「大惨事」に直面しているのだ。ここで,またぞろ,「ショック・ドクトリン」を地でいくドラマが展開しつつあるのだ。国民の多くが,ショックでまともな判断ができなくなってしまって,思考が停止している間に,原発推進,TPPへの参入,増税,等々,なんでもやってしまえとばかりに「どじょう」君が,外国にでて急に元気がでてきてしまった。
ああ,今日のブログがエンドレスになってしまった。
断わっておくが,さきの,カダフィ大佐の話はどこまでもわたしの勝手な推測である。真実は「藪の中」。神のみぞ知る。でも,そのうち,やがて真実は明らかになる。時間の問題だ。しかし,その時間の間に「惨事便乗型資本主義」を信奉する連中が暗躍する。
アメリカが危ないと思っていたら,ヨーロッパも危ない。日本はもっと危ない。なにか,世界が音を立てて崩れ落ちていく予兆のように思えて,またまた,憂鬱になってしまう。わたしの救いの神は『般若心経』。ギャーテー,ギャーテー,ハラソーギャテー,ボジソワカ,ハンニャシンギョウ。真言もまた「藪の中」。
そのあと,また,しばらくして, You Tube のカダフィ大佐関連の映像を拾いながら眺めたことがある。殺害現場の生々しい映像(カダフィ大佐が頭から血をながし,顔の左半分が真っ赤になっている。その血を,カダフィ大佐が自分の手で拭って,血であることを確かめている映像から,自動車のボンネットの上に坐らされて,暴力を受け顔をゆがめ,涙を流している顔も,そして,死体置き場に横たわった,上半身裸のままのものまであって,途中でみるのを止めたほどである)を追っていて,その関連の映像をクリックしたら,ものすごく激した演説をぶっているスーツにネクタイをした元気のいい紳士が現れた。
そして,この映像の紳士(どういう人物かは確認できていないが,いまでも映像をみることはできる。すでに,かなり編集されているが・・・。たぶん,カダフィ派の高官ではないかと思うのだが・・・)が言うには,カダフィ大佐はEUの手で殺されたのだという。そして,その演説がまことに理路整然としているので,これまたびっくりである。その彼の演説のすべてをここに紹介することは無理なので,その骨子だけを紹介すると以下のとおりである。
EUには,カダフィ大佐を殺さなくてはならない理由が三つあった,という。
一つは,アフリカ独自の通信衛星をもつという計画。現在は,毎年,5000億円の金をIMFに支払って,通信衛星の利用をさせてもらっている。しかし,4000億円を用意すれば,自分たちの(アフリカ連合)の通信衛星をもつことができる。そのうち,3000億円をカダフィ大佐が出す,と2007年に約束して,その準備が着々と進んでいた。これが実現すると,IMF(つまりは,EU)に毎年入る5000億円の儲けがなくなってしまう。
二つめは,アフリカ独自のAMFをつくって,IMFの支配下から脱出しようという計画である。これもカダフィ大佐が巨額の資金を提供することを,すでに,2006年に約束していた,という。これと連動して「中央アフリカ銀行」と「投資銀行」をつくり,アフリカが一つになって団結しよう,という計画がすぐそこまできていたというのである。そうなれば,アフリカ諸国は,EUの,そして,IMFの傘下から脱出して,自分たちの意志で,自分たちの利益のために金を動かすことができる,というわけである。
三つめは,アフリカ独自の通貨をつくろう,という計画。もう,意図は歴然としているように,ユーロに対抗するアフリカ全域で通用する新通貨の創設である。そうして,完全にEUの支配下から脱出して,アフリカ独自の経済システムを構築しようというのである。これもまた,カダフィ大佐の莫大な資財をなげうって,計画を進めていたというのである。そして,すでに,アフリカ諸国の同意もとりつけて,いよいよ動きはじめようという時期だった,という。
このことに気づいたEUが黙っているわけがない,とくだんの紳士がぶち上げる。そして,EUはすでに没落していて,頼るはアフリカ諸国からの「儲け」以外になかったのだ,という。だから,なにがなんでも,その主役を演じているカダフィ大佐を「悪者」に仕立て上げて,これを「亡き者」にしなければならなかったのだ,と断言する。
しかも,この映像は,だれが編集をしたのかもわからないが,リビアはとてもいい国であったということを16箇条にわたってテロップを流している。その中には,リビアは,電気代は無料,教育費・医療費も無料,借金をしても金利はゼロ,石油1リットル10円,赤ん坊が生まれると50万円支給,・・・・とあって,最後には,石油の売り上げ利益の一部を国民一人ひとりの預金通帳に振り込んでいた,などといったことが羅列してある。
もし,これがほんとうだったとしたら,なにゆえに,あのような暴動が起きたのか,そして,それが成功してしまうのか。この裏にはなにかが隠されている・・・のでは,とわたしは勘繰ってしまう。ひょっとしたら,これは,アメリカの得意の手ではないか,と。アフガンも,イラクも,用いた「手」は違うものの,そのやり口は同じだ。それと同じ「手」を,こんどはEU主導で(もちろん,裏にはアメリカがいる)打ったのではないか,と。考えてみると,NATO軍が,とても不思議な軍事行動を起こしていたことが思い起こされる。攻撃するのかしないのか,民衆の動きを見届けながら,微妙な動きをしていたように思う。やるなら,一気にやってしまえばいいのに・・・・。ところが,最後のとどめは民衆の手に委ねた。そして,いかにも,リビア国民の意志で,この暴動が起きたのだと「演出」したかったのでは・・・,と。
こんどのギリシアの金融危機の救済措置をめぐるEUの対応をみていて,どうして,こんなにまでヒステリックになるのか,と思っていた。ギリシアの「国民投票」まで許さぬ,というのである。ここで,ギリシア国民が「EU脱退」を選択したら,EUの牙城の一角が崩れ落ちることになる。そのあとは,スペイン,イタリア,といった国々が危ない。あるいは,フランスもドイツも危ないのかもしれない。となると,なにがあってもギリシアはEU主導で,その救済策に従わせなくてはならなくなってくる。もう,そういうEUの経済危機は,かなり前から予測されたものだったはずだ。だから,急遽,4首脳が集まって(なぜか,ここにオバマ君がいる),ギリシアにプレッシャーをかける必要があったのだろう。
そういう予兆が早くからあったがゆえに,ヨーロッパの「ドル箱」だったアフリカ諸国が,「アフリカ連合」を立ち上げてEUの傘下から自立してしまうことを,なにがなんでも回避しなければならなかった。だからこそ,リビアの民衆暴動を起こさせ,カダフィ大佐の独裁をターゲットにして攻撃を仕掛ける・・・・。ありそうなことではないか。そうして,ふたたびアフリカ諸国をEU傘下に統治することの正当性を主張していく。
それがまんまと成功してしまった。が,このあとが大変だなぁ,とわたしはみている。もし,この仮説が当たっているとしたら,リビアの新政権は安定どころか,あちこちから「テロ攻撃」の対象となるに違いない。つまり,カダフィ大佐が「善政」を行っていたとしたら(さきの演説者や女性ジャーナリストの言うように),相当に多くの「親カダフィ派」が生き残っているはずだから。
それにつけても,ここで想起されるのはナオミ・クラインの『ショック・ドクトリン』だ。この本のサブ・タイトルにもなっている「惨事便乗型資本主義の正体」が,いま,わたしたちの,いや,世界中の人びとの目の前で,その姿を剥き出しにして,一大スペクタクルを演じつつある,ということだ。このどさくさまぎれに,なにを「正義」として立ち上げ,新たな支配の論理を構築していくのか,わたしたちはしかと見届けておく必要がある。
しかも,これは対岸の火事ではない。日本はいま,大災害と原発という,前代未聞の「大惨事」に直面しているのだ。ここで,またぞろ,「ショック・ドクトリン」を地でいくドラマが展開しつつあるのだ。国民の多くが,ショックでまともな判断ができなくなってしまって,思考が停止している間に,原発推進,TPPへの参入,増税,等々,なんでもやってしまえとばかりに「どじょう」君が,外国にでて急に元気がでてきてしまった。
ああ,今日のブログがエンドレスになってしまった。
断わっておくが,さきの,カダフィ大佐の話はどこまでもわたしの勝手な推測である。真実は「藪の中」。神のみぞ知る。でも,そのうち,やがて真実は明らかになる。時間の問題だ。しかし,その時間の間に「惨事便乗型資本主義」を信奉する連中が暗躍する。
アメリカが危ないと思っていたら,ヨーロッパも危ない。日本はもっと危ない。なにか,世界が音を立てて崩れ落ちていく予兆のように思えて,またまた,憂鬱になってしまう。わたしの救いの神は『般若心経』。ギャーテー,ギャーテー,ハラソーギャテー,ボジソワカ,ハンニャシンギョウ。真言もまた「藪の中」。
1 件のコメント:
お久しぶり!!
kappacoolazyさん(^^)(^^)
「だにぉ。」が心地よく聞こえます。
とはいえ、「ずっ〜と塞ぎ気味、、、」とのこと。月並みですが、大丈夫ですか?
私は、毎日をこなすことに一杯一杯です。
しかしながら、このブログを読むたびに、自分にできることは何なのかと自答していることも確かですが、、、。
なので、きっと自分は「鬱ぎ気味」というより、「分裂気味」なのかも(^^;)(^^;)
なんだか、kappacoolazyさんへのメッセージのようになってしまいましたが、“カダフィ大佐”のブログを読み、kappacoolazyさんのコメントを読みながら、さらに分裂気味の自分と向き合っていることを自認したものでコメントにしました。
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