2012年4月1日日曜日

「東電」とは,いったい何様のつもりなのだろうか。とうのむかしに破産しているというのに。

このところ腹が立って腹が立って,どうにも気持が納まらなくなってしまったので,しばらくは「東電」のことを書くのはやめようと思っていた。が,どうしても我慢ならなくなり,とうとう書くことにした。その理由は,一連の料金値上げにかかわる不祥事(説明不足ではなく,明らかに「詐欺」そのものだ)に加えて,3月30日(金)の『東京新聞』一面トップの記事を読んでしまったからだ。その記事の要旨は,1兆円の公的資金による資本注入と原発事故の賠償金8,459億円を追加資金援助として申請した上で,なおかつ,社長は東電の国有化には反対で,こんごも民間の力でやっていくのだ,と記者会見で述べた,というものである。

精確を期して,大きなつかみの部分だけ引用しておこう。
東京電力は29日,政府の原子力損害賠償金支援機構に対し,1兆円の公的資金による資本注入と,福島第一原発事故の賠償金の拡大に伴う8,459億縁の追加資金援助を申請した。これを受け政府は7月にも資本注入を実施し,事実上国有化するが,東電はいまだに抵抗する姿勢を崩していない。新生東電を担う経営陣の人選も遅れており,東電の経営改革の行く先は定まらないままだ。

政府の原子力損害賠償支援機構が支払う1兆円の公的資金とは,要するにわれわれの税金だ。8,459億円の賠償金の追加資金援助(すでに巨額な資金援助をしてきている,精確な金額をすでに忘れている)も税金だ。東電は申請すればいくらでも資金援助がしてもらえると思っている。そして,そのとおりになっている。いったい「東電」とは何様のつもりなのだろうか。

わたしは去年の早い時期に(たぶん,5月か6月ころだったと思う),このままでは東電はやってゆけない,つまり,破産してしまったのだから,JALと同じように会社更生法にかけて,経営陣を一掃し,新しい経営陣のもとでの企業努力に委ねるべきだ,と素人考えながらそう信じていた。しかし,どこでどう論理のすり替えが行われたのか(「想定外」の津波がすべて悪い,と責任転嫁したまでは記憶している。しかし,原発は地震の揺れですでに破損していた可能性がきわめて高い,ということも明らかになりつつあるし,津波に対する対策も「手抜き」以外のなにものでもないということも明らかになりつつある。しかし,すべては「決め手」を欠いているために,とにかく事態収拾にむけて,という曖昧な理由が先行しているようだ),東電もまた東日本大震災の「被害者」だということになってしまった。だから,平然と被害届けを出して,資金援助の申請をすることのどこが悪い,と言わぬばかりである。

さらには,こんどの1兆円の資本注入をすると,「東電の経営に政府がどこまで関与するかが決まる『議決権比率』は約75%になる」という。だから,このままでいけば,東電は自動的に「国有化」への道を歩むことになる。しかし,「国有化」にはとことん抵抗の姿勢を崩さない。あくまでも「民間の活力が必要だ」と言い張る社長。

もはや,なにをか況んや,である。
どうしてこんなことが野放しにされているかは,もはや,説明するまでもないだろう。

わたしの認識では,東電は明らかな犯罪者である。その決め手となる情報をすべて秘匿しているのは東電だ。自分たちに都合の悪いことはすべて秘匿。あるいは,情報源のたらい回し。結局はすべて「うやむや」のまま。こんなことがいつまで通用すると思っているのだろうか。いずれは,かならず明らかになる,とわたしは信じている。

原発の事故後の経過にしても,ほんとうのところはなにもわかってはいない。東電がどのように認識していたのか,それを東電は政府にどのように伝えたのか,保安院はどのような情報をえていたのか,そして,その情況をどのように認識していたのか,3月14日,15日の二日間だけでも,東電は政府と保安院へは別々の情報を流していた,と今日(4月1日)の『東京新聞』は伝えている(1面と2面にわたって詳細に)。

こうした事実関係もそのうち,全貌が明らかになってくるだろう。
そのためには,メディアがもっともっと奮起してもらわねばならない。どこぞの大手新聞社のように,東電擁護の論陣を張り,つまり,原発推進の論陣を張り,別の犯人探しに躍起になっているメディアもある。情けないかぎりだ。でも,それではいけない,と気づきはじめたメディアも少しずつだが,でてきた。この流れは「脱原発依存」に与する良識ある国民(約70%)の力によるものだ。国民ひとりひとりの力は微々たるものだが,それが集まれば無言の圧力にはなりうる。そのことがようやくわたしたちの共通理解になりつつある。

事実関係をしっかりと確認すること。アホなメディアに騙されないように。わたしたちも武装しなくてはならない。そして,良識あるメディアを支援していくこと。それあるのみ。

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