2015年2月18日水曜日

「体重が増えません」(わたし)。「新しい平衡状態で落ち着きます」(主治医)。

 2月16日(月)の診断余話。

 「なにか気になることがありますか」(主治医)。
 「体重が増えません」(わたし,以下同じ)。

 「みたところちょうどいいように見えますが・・・・」
 「60㎏あった体重が52㎏で低迷しています」

 「なんとか元の体重にもどそうと必死で食べています。そうするといくらか体重が増えてきます。しかし,つい調子にのって食べすぎてしまいます。するとすぐに下痢してしまいます。で,気がつけば元の体重にもどっています。」
 「胃を三分の二切除していますから,そんなにかんたんには胃のはたらきも回復することはありません。少し時間がかかります。焦らずに,じっと待つことにしましょう。」
 「でも,ある程度,食べないとどんどん体重が落ちていくのではないかと不安です。」
 「そんなことはありません。あまり多く食べなくても,体重はあるところで安定してきます。」

 「そういえば,元気だったころは体重が増えて増えて困っていました。ですから,いかに少なく食べて満足するか,と必死でした。それでも体重は減りませんでした。」
 「そうです。体重はいろいろの条件の総和で定まってくるものです。食べものや運動だけで体重をコントロールすることはきわめて困難なことです。言ってしまえば,生活のすべてを見直すことからはじめなくては体重をコントロールすることはできません。体重を増やす場合も同じです。」

 「ということは,胃腸が喜びそうな状態を保ちながら,様子をみるということでしょうか。」
 「そうです。いまは胃腸に大きな負担をかけている時期です。ですから,その負担をできるだけ軽減してやること。そして,下痢をしないレベルで食事をコントロールすること。そうすることによって,術後のからだの新しい<平衡状態>が生まれてきます。そこが,稲垣さんの新しい適正体重だとおもってください。」

 「なるほど。よくわかりました。それでは自分なりのやり方で,からだの声に耳を傾けながら,仲良く付き合っていくことにします。」
 「稲垣さんは,ご自分のからだのことをよくわかっていらっしゃるから,大丈夫です。その調子でじっくりと向き合ってみてください。そして,からだが喜びそうな方に導いてやってください。そこが,あたらしいからだの居場所だとおもって・・・。」
 「それなら,ある程度,自信があります。努力目標がはっきりしましたので,つぎの診察まで頑張ってみます。」

 「頑張ってください。期待しています。」
 「ありがとうございました。」

 もともとの60㎏まで体重をもどすことは無理だとしても,55㎏くらいにもどすことはできるのではないか,とおもっていたことが間違いでした。からだというものは,単に胃袋が三分の二なくなっただけの話ではなくて,その余波があらゆるところに波及していて,その総和によってバランスをとっているものだ,ということがよくわかりました。

 どうも,近代栄養学の単純な収支決算法的な発想にすっかり毒されていたようです。一日〇〇カロリーとか,栄養のバランスだとか,数値化された情報に無意識のうちにふりまわされていた,といっていいでしょう。体重というものはそんな単純な仕組みで変化するものではない,ということをしっかりと肝に銘じておきたいとおもいます。

 これから,まったく新しい発想でのからだとのお付き合いがはじまります。なんだか,楽しくなってきました。ここをエンジョイしてみることにしましょう。
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