このところ気がつけば,『東京新聞』を隅から隅まで読んでいる。どの記事も読んで面白いのである。ただし,断わっておくが,全部の記事に賛同して,面白いと思っているわけではない。なかには,「とんでもない!」「冗談じゃないよ!」と大きな声で吼えたり,「これだよ,これっ!」と気分よくしているものもある。当たり前といえば当たり前。でも,気がつくと,ほとんど全部の記事を読んでいる。以前は,見出しだけみて飛ばし読みをしていたものが多かった。しかし,このところ,なんだか,全部,読んでしまっている。よくも悪くも,面白いのである。
昨日(25日)の夕刊もそれ。
まずは,見出しとその記事を読みながらの「つぶやき」から。
「発電コスト最大1,2円増」。国の原子力委員会の「原発・核燃料リサイクル技術等検討小委員会」の出した結論。「バカなことを言ってんじゃないよ」「小学生以下の知能しかないのか」「自発的隷従の輩よ」「東電のロボット」「亡国奴」。
「文化勲章 丸谷氏ら5人」。5人の写真入りの記事。「ああ,なんという人相になってしまったんだ,丸谷君」「人の顔は嘘をつかない」
「熊手作り急ピッチ」(写真入りの記事)。「ああ,もう『酉の市』かぁ」「ことしも暮れていくなぁ」「でも,買う人はいるのだろうか」「いやいや,こういう時だからこそ売れるのでは・・・」
「気功治療」(「この道」橋幸夫のコラム)。「書くな,気功で眼底出血が治ったなどということを」「こんな記事を載せるな」「デスクはなにをしてるんだ」
「水田大規模化など柱」「農業再生基本方針を決定」(政府)。「あ~あ,農業のなんたるかを全然わかっていない政府」「農業は工業生産ではないのだ」「大規模化したら農民は半減してしまう」「農村共同体が消えていく」「伝統芸能も祭りも消えていく」「日本の魂が抜け殻になる」「ああ,情けない政府」「どじょう君,田んぼの匂いを忘れたのか」
以上が一面。
二面はとばして,三面へ。
「レンジャーズ王手」「Wシリーズ第5戦」。「こんな記事,要らない」「もっと大事なスポーツ記事があるだろうに」「スポーツ紙ではあるまいに」
「新勢力・角界狙う平成生まれ」「憧れを胸に猛稽古」「千代の国」。新聞社をふくめメディアが総掛かりで大相撲を叩いているこの時期に,未来を見据えて頑張っている力士を取り上げるのは立派。「偉いぞ」「大相撲を愛するということはこういうことだ」「覚えておこう,千代の国の名前を」「稽古ひとすじに頑張れ」「強くなれよ」
「風で球動いても罰打なしに変更」「ゴルフ,来年から新規則」。「またぞろ甘えの構造」「スキーのジャンプの選手たちは,どんな風が吹いてきても,飛べという指示があれば,黙って飛んでいる」「公平とはどういうことなのか,しっかり考えろ」「そのうち風速〇メートルのため試合中止,なんてことに・・・」「笑ってしまうよ」「ゴルフはどんな条件下でも行うからジェントルマンスポーツと呼ばれていることを忘れたな」「過保護,過保護」「選手はますますアマチャンになる,ぞん」「ほいで,いいだかのん」「どうでもいいずら」
4面は今月の故人を「偲ぶ」ページ。
「戦後日本 問い続け」(辺見じゅんさん)。「立派」「弟(角川春樹)はもっとしっかりせんかい」「この人の書いたものは読まなくては・・・」
「黄金時代のスター」(バドミントン世界女王4度 新沼博江さん=旧姓・湯木)。「あの強烈なバックハンドは覚えているよ」「早すぎたなぁ,62歳かぁ」「謙治君,寂しいだろうなぁ」
6面。「論壇時評」(金子勝)。「ジョブズの死」「いでよ 革新的経営者」。「金子さん,いいねぇ」「もっともっと書いてください」「これ,切り抜こうっと」「涙がでるねぇ」。なにゆえに涙がでたか,理由はいくつもある。その最後のひとつを引用しておこう。
「気づいてみれば,『失われた二十年』の間,バブル崩壊後の不良債権問題でも,小泉『構造改革』の結果についても,福島第一原発事故でも,誰一人として責任を問われていない。異質な意見が排除され真摯な総括もなく,無責任体制のうえに,リーダーたちは大きな組織を順送りで昇進してくる。これで厳しい危機管理ができるはずがない。この国の病根は深い。」
わたしが言いたくて言いたくて仕方のなかったことを,金子さんはみごとに代弁してくださった。しかも,新聞というメディアをとおして。この記事を掲載した『東京新聞』に万歳。悔しかったら,朝日新聞さん,真似してみなさい。そして,書き手の幅を拡げなさい。ならば,歓迎します。
ここまでで,ちょうど半分。あとは残念ながら割愛。
でも,あとひとつだけ。9面に米映画『ウィンターズ・ボーン』が評論されている。書き手は「小田克也」。「決意と努力で人生前進」「ミズーリ州舞台の自主作品」「デブラ・グラニック監督」。この記事には失望した。わたしも試写会に行って,『嗜み』という雑誌に短い評論を書いた。それだけでは,とても我慢ならず,このブログでもかなり詳しく書いた(参照のこと)。かなり厳しい評論をしたので,読者の反応はきわめて少なかった。これから封切りになるので,場合によっては,ふたたび読まれるようになるかも。その意味では期待している。ここからひとりごと。「なに言ってんだっ。お前は映画をきちんと見たのか」「アメリカの頽廃ぶりはこんなものではない」「監督も甘い」「同じ題材でも,もっと鋭く斬り込むことができるだろうに」「アメリカの病根の深さはこんな程度のことではない」「16歳の少女の決断には感動するが,そんなことで『人生前進』するとはとても考えられない」「言ってしまえば,マイホーム・ドラマ」。
こんな調子で,12面まで,びっしり読ませる記事が満載。大竹しのぶ,大城立裕,出久根達郎,といった人たちの記事がつづく。が,このブログはここまで。
『東京新聞』は面白い。書き手が素晴らしい。金子勝さんや山口二郎さんや・・・・。大手の新聞社がみんな忌避している書き手だ。しかし,この人たちは「嘘をつかない」。ほんとうのことを,ありのまま書く。そう,ベラ・チャスラフスカのように。
昨日(25日)の夕刊もそれ。
まずは,見出しとその記事を読みながらの「つぶやき」から。
「発電コスト最大1,2円増」。国の原子力委員会の「原発・核燃料リサイクル技術等検討小委員会」の出した結論。「バカなことを言ってんじゃないよ」「小学生以下の知能しかないのか」「自発的隷従の輩よ」「東電のロボット」「亡国奴」。
「文化勲章 丸谷氏ら5人」。5人の写真入りの記事。「ああ,なんという人相になってしまったんだ,丸谷君」「人の顔は嘘をつかない」
「熊手作り急ピッチ」(写真入りの記事)。「ああ,もう『酉の市』かぁ」「ことしも暮れていくなぁ」「でも,買う人はいるのだろうか」「いやいや,こういう時だからこそ売れるのでは・・・」
「気功治療」(「この道」橋幸夫のコラム)。「書くな,気功で眼底出血が治ったなどということを」「こんな記事を載せるな」「デスクはなにをしてるんだ」
「水田大規模化など柱」「農業再生基本方針を決定」(政府)。「あ~あ,農業のなんたるかを全然わかっていない政府」「農業は工業生産ではないのだ」「大規模化したら農民は半減してしまう」「農村共同体が消えていく」「伝統芸能も祭りも消えていく」「日本の魂が抜け殻になる」「ああ,情けない政府」「どじょう君,田んぼの匂いを忘れたのか」
以上が一面。
二面はとばして,三面へ。
「レンジャーズ王手」「Wシリーズ第5戦」。「こんな記事,要らない」「もっと大事なスポーツ記事があるだろうに」「スポーツ紙ではあるまいに」
「新勢力・角界狙う平成生まれ」「憧れを胸に猛稽古」「千代の国」。新聞社をふくめメディアが総掛かりで大相撲を叩いているこの時期に,未来を見据えて頑張っている力士を取り上げるのは立派。「偉いぞ」「大相撲を愛するということはこういうことだ」「覚えておこう,千代の国の名前を」「稽古ひとすじに頑張れ」「強くなれよ」
「風で球動いても罰打なしに変更」「ゴルフ,来年から新規則」。「またぞろ甘えの構造」「スキーのジャンプの選手たちは,どんな風が吹いてきても,飛べという指示があれば,黙って飛んでいる」「公平とはどういうことなのか,しっかり考えろ」「そのうち風速〇メートルのため試合中止,なんてことに・・・」「笑ってしまうよ」「ゴルフはどんな条件下でも行うからジェントルマンスポーツと呼ばれていることを忘れたな」「過保護,過保護」「選手はますますアマチャンになる,ぞん」「ほいで,いいだかのん」「どうでもいいずら」
4面は今月の故人を「偲ぶ」ページ。
「戦後日本 問い続け」(辺見じゅんさん)。「立派」「弟(角川春樹)はもっとしっかりせんかい」「この人の書いたものは読まなくては・・・」
「黄金時代のスター」(バドミントン世界女王4度 新沼博江さん=旧姓・湯木)。「あの強烈なバックハンドは覚えているよ」「早すぎたなぁ,62歳かぁ」「謙治君,寂しいだろうなぁ」
6面。「論壇時評」(金子勝)。「ジョブズの死」「いでよ 革新的経営者」。「金子さん,いいねぇ」「もっともっと書いてください」「これ,切り抜こうっと」「涙がでるねぇ」。なにゆえに涙がでたか,理由はいくつもある。その最後のひとつを引用しておこう。
「気づいてみれば,『失われた二十年』の間,バブル崩壊後の不良債権問題でも,小泉『構造改革』の結果についても,福島第一原発事故でも,誰一人として責任を問われていない。異質な意見が排除され真摯な総括もなく,無責任体制のうえに,リーダーたちは大きな組織を順送りで昇進してくる。これで厳しい危機管理ができるはずがない。この国の病根は深い。」
わたしが言いたくて言いたくて仕方のなかったことを,金子さんはみごとに代弁してくださった。しかも,新聞というメディアをとおして。この記事を掲載した『東京新聞』に万歳。悔しかったら,朝日新聞さん,真似してみなさい。そして,書き手の幅を拡げなさい。ならば,歓迎します。
ここまでで,ちょうど半分。あとは残念ながら割愛。
でも,あとひとつだけ。9面に米映画『ウィンターズ・ボーン』が評論されている。書き手は「小田克也」。「決意と努力で人生前進」「ミズーリ州舞台の自主作品」「デブラ・グラニック監督」。この記事には失望した。わたしも試写会に行って,『嗜み』という雑誌に短い評論を書いた。それだけでは,とても我慢ならず,このブログでもかなり詳しく書いた(参照のこと)。かなり厳しい評論をしたので,読者の反応はきわめて少なかった。これから封切りになるので,場合によっては,ふたたび読まれるようになるかも。その意味では期待している。ここからひとりごと。「なに言ってんだっ。お前は映画をきちんと見たのか」「アメリカの頽廃ぶりはこんなものではない」「監督も甘い」「同じ題材でも,もっと鋭く斬り込むことができるだろうに」「アメリカの病根の深さはこんな程度のことではない」「16歳の少女の決断には感動するが,そんなことで『人生前進』するとはとても考えられない」「言ってしまえば,マイホーム・ドラマ」。
こんな調子で,12面まで,びっしり読ませる記事が満載。大竹しのぶ,大城立裕,出久根達郎,といった人たちの記事がつづく。が,このブログはここまで。
『東京新聞』は面白い。書き手が素晴らしい。金子勝さんや山口二郎さんや・・・・。大手の新聞社がみんな忌避している書き手だ。しかし,この人たちは「嘘をつかない」。ほんとうのことを,ありのまま書く。そう,ベラ・チャスラフスカのように。
1 件のコメント:
「水田大規模化など柱」「農業再生基本方針を決定」(政府)。
のくだり。
我々、山間地域で農業をしているものは大規模化なんてほど遠い話。我々のような農家は再生の網から抜けていく。生産性と効率を重視すれば、大規模化は正解の行政判断かもしれませんが、日本の農家はソンなことができる農家ばかりではありません。
ただ、消費者の立場からすると、朗報になるのかもしれません……。
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