2013年4月7日日曜日

法政大学野球部選手たちの直訴で,監督辞任へ。「パワハラ」一掃に向けて新展開か。

 いま,ネット上に驚くべき情報が流れている。法政大学野球部の選手たちが直訴して,監督を辞任に追い込んだ,というのである。すでに,監督(金光)は合宿所の荷物(私物)を片づけて,引き上げたという。争点になっていたのは,選手たちに対する金光監督のパワーハラスメント。

 これが事実だとすれば,柔道の女子選手たちの直訴による監督交代劇につづく「快挙」である。ようやく人間として目覚めたアスリートたちが現れたということ。つまり,自分の目で確かめ,自分の頭で考え,自分で判断(決断)し,自分で行動を起こす・・・いわゆる「自立」したアスリートたちの出現である。

 これまで我慢に我慢を重ねてきたアスリートたちの世界,つまり,「絶対服従」の世界の一角が音を立てて崩れはじめた,とわたしは受けとめる。いよいよ,そういう時代がやってきたのだ,と。待ちに待った時代の幕開けだ,と。

 ネット上には,J-CASTニュースが,つぎのような見出しで情報を流している。
 「パワハラ」もうガマンできない 選手たちが集団直訴,法大野球部監督がついに辞任。
 選手130人中109人が監督交代を求める。

 その上で,今回のことの顛末を詳細に報じている。それによると,もう2年以上前から金光監督のパワハラが問題になっていたという。そして,選手たちに代わってOB会が監督交代を大学執行部に申し入れていたのだが,先送りにされていたという。そして,ことしの1月13日には,法政大学野球部の「法友野球倶楽部」(OB会)の総会と昨秋の東京六大学リーグ優勝祝賀会が開催され,OB会から監督交代の申し入れがなされたという。そこには,OB会副会長の山本浩二(WBC日本代表監督)も出席していたが,双方の意見が対立し,怒号が飛び交ったという。そして,ついには,金光監督側は「名誉棄損」による裁判も辞さない,という構えになっていたという。

 しかし,4月に入っても監督の交代はならないと見届けた選手たちが,選手130人にアンケート調査を行い,そのうちの109人が監督交代を求めている,というデータを付して大学執行部に提出。しかし,執行部側は「もう少し時間がほしい」と先のばしをほのめかしたために,選手たちは,4月3日の時点で,今日中に回答がほしいと直訴。もし,回答が得られないなら,今日から練習もしない,リーグ戦にも参加しない,というみずからの退路を絶った最大のリスクを選択。これには執行部側も折れざるを得ないと判断。その日のうちに,監督辞任が決まり,助監督を監督に昇進させることで和解が成立。

 法政大学野球部といえば,名門中の名門。名選手を数多く輩出していることは,だれもがよく知っているところ。こういう名門野球部のパワハラ問題が明るみにでて,しかも,選手たちの直訴によって監督が辞任に追い込まれる,という前代未聞のことが起きた。それだけに,こんごに与える影響力は甚大である。

 ついに,そういう時代がやってきたか,とわたしは感無量である。名監督,名コーチと世間の評判がよくても,その陰で「パワハラ」が横行している話はよく聞くところである。しかし,選手たちはひたすらガマンを重ね,じっと耐えてきた。が,もはや,限界にきている,ということなのだ。そして,みずからを犠牲にしてでも,言うべきことは言う,という「自立」したアスリートたちが,ついに出現したのだ。大いに歓迎すべし,である。

 これで,柔道女子の「直訴」につづく二つ目の大きな事例となる。そして,これまでのやり方では通用しないと気づく監督・コーチがあとにつづいてくれることを願ってやまない。さらには,選手たちも「自立」を目指して,クラブの環境整備に努めるべきだ。そして,その方が,競技力も向上するのだ,ということに気づいてほしい。監督・コーチの指示どおりにしか動けないロボット選手たちより,自分で考え,判断し,行動できる自立した選手たちの方が,よりパフォーマンスのレベルがあがることは間違いないのだから。

 まだまだ理不尽なパワハラに悩まされつづけている選手たちも,目覚めてほしい。そして,ついに我慢の限界を超えて,意を決して立ち上がるときがきた,と気づいてほしい。こうして,気づいた選手たちがあとにつづくことによって,日本のスポーツ界から「暴力」を一掃してほしい。そのことを予感させる,今回の法政大学野球部の,勇気ある選手たちにこころから拍手を送りたい。

 加えて,春のリーグ戦での活躍も大いに期待したい。

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