2013年8月12日月曜日

連日,各地で40℃を超える記録的な猛暑,お見舞い申しあげます。

 この連日の猛暑のなか,みなさんはいかがお過ごしでしょうか。それもただの猛暑ではありません。75歳になるわたしの記憶にもない,まさに記録的な猛暑です。連日,熱中症注意報が呼び掛けられています。かと思えば,局所的な集中豪雨。こちらも大きな被害が各地ででています。狂っているのは人間だけだとおもっていたら,とうとう自然現象まで狂いはじめています。こころなしか,蝉の鳴き声もいつもよりは弱々しく聞こえます。

 そんななかお盆休みの帰省ラッシュです。自動車にしろ,新幹線にしろ,家族での大移動,たいへんなことです。どうやら,お盆すぎまでこの猛暑はつづきそうです。そして,甲子園では高校野球が真っ盛り。あのグラウンドの上は40℃ははるかに超えているだろう,といつもの年でも聞いています。ということは,ことしのこの猛暑ではどのくらいの暑さになっているのでしょうか。気が遠くなりそうです。でも,そんな猛暑をものともせず,連日,熱戦を繰り広げています。鍛えられた球児たちの元気な姿に勇気づけられます。

 その一方では,こんな記録的な猛暑のなかで甲子園大会を開催すべきではない,という意見もあります。みなさんは,この意見をどのようにお聞きでしょうか。この議論はいつか,きちんとしておきたいとおもいます。

 お盆といえば,あちこちの店でお盆用品をセールしています。驚いたのは,どの店もほとんど同じような商品を並べているということです。そういえば,しばらく前からお墓の前のお供えが,どうも変だなぁ,とおもっていたら,こういう商品が多く出回っているということが一因のようです。ことしはとくに顕著だ,とわたしには感じられます。それは,お花もお供えもみんなプラスチック製だということです。せめて,お花くらいは生花を供えたいところ。そして,故人の好きだったお酒の瓶もビール缶もプラスチック製の小型の模造品。ご飯や煮物,そして,お饅頭もみんなプラスチック製。まことに合理的。衛生的。後片付けも,つぎに来るときまでしなくていい。

 でも,近代合理主義の考え方がここまで浸透してしまったのか,とわたしなどは気持ちが滅入ってしまいます。寺で育ったわたしは,敗戦直後の食べ物もままならなかった時代に,仏様へのお霊供だけは白米のご飯(われわれはサツマイモの混ぜご飯)に季節の煮物(できれば初物)を炊いて,まっさきにお供えするのが,当たり前のことでした。そのあとで,わたしたち家族の朝食でした。そして,夕方にはお霊供をさげてきて,家族で等分に分けていただくのです。白いご飯が食べられなかった時代には,それだけで,ご馳走であり,嬉しかったものです。

 ですから,この時代のお墓やお位牌の前に供えられるものも,みんな農家で採れた野菜や果物でした。それも一番,立派なものが供えられました。つまり,ご先祖様への感謝や祈りの気持ちがつよく表れていたのだとおもいます。その信仰心の強さ,深さは,いまとくらべたら問題になりません。朝夕に祈る老人の姿は,どこの農家でも日常的にみかけたものです。

 が,アメリカの占領軍という名の戦後民主主義は,日本の伝統的な生活様式の「合理化」を強制しました。農村にも「生活合理化運動」なるものが浸透して,日曜日に農作業をしてはいけないとか,夜なべをしてはいけないとか,まさに,キリスト教国アメリカのスタンダードの押しつけでした。こどもたちには,方言をしゃべることが禁止されました。

 この話ははじめてしまいますとエンドレスですので,今日のところはここまで。いずれにしても,アメリカン・スタンダードの押しつけは敗戦直後から,じつにきめ細かく行われたことは間違いありません。そうしたキリスト教的・科学的・合理的な生活改善運動が,日本人の伝統的な信仰心を著しく破壊したことは間違いありません。いわゆる儀礼廃止という名のもとに。

 そのゆきついた典型的な事例が,プラスチック製のお供えものです。わたしが死んだら(もうすぐの話),そんな供え物なら要らない,と断ります。沖縄では,亀墓の前で,立派なお供えものを並べたあと,親族一同で小宴会を催す,とも聞いています。これなら大歓迎。こうした信仰心の深さと,人間のこころの優しさとは無縁ではない,とわたしは考えています。

 お盆のお参りに帰省もしない親不孝者であるわたしは,遠く離れた,この場所から般若心経を唱え,気持ちだけをご先祖さまと両親に送り届けたいとおもっています。

 みなさんは,どのようにこのお盆休みをお過ごしでしょうか。
 いずれにしても,この猛暑,こころからお見舞いを申しあげます。

 あと一週間もすれば涼しい風が吹きはじめるのではないか,とひそかに期待しています。エアコンをもたないマンション生活は,窓から入ってくる風のみが頼りです。早く,秋の気配を感じたい,と首を長くしているところです。

 この猛暑,お互いに無事に乗り切ることができますように。

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