2013年8月1日木曜日

8月1日(木),『東京新聞』朝刊の見出しを拾ってみると・・・・。世も末か。破局への道をまっしぐら。

 しばらく前から街ゆく子どもたちの姿が目立つようになり,「あっ,夏休みか」と気づく。教育現場からはなれて6年目に入ると,もう,夏休みも忘れてしまっている。そして,75歳をすぎたいまも,以前にも増して本を読んだり,原稿を書いたりする日々に追われている。もう,そろそろ「幕引き」をしなくては・・・と考えながらも,面白いことはやめられない。

 しかし,世の中(日本も世界も)をみるかぎり夢も希望もない時代にまっしぐら。いやはや,暗い話ばかり。わたしの周囲には,全柔連はいったいなにをやってんだ,スポーツ界全体がどうかなってしまったのではないか,ときびしく批判する人が多い。しかし,わたしもくやしいので言い返す。全柔連だけじゃないだろう。世の中全体が狂ってしまったんだよ。人間の思考回路の肝腎な部分が壊れてしまったことに,多くの人が気づいていないんだよ,と言い返す。

 8月1日(木),わたしの愛読している『東京新聞』朝刊の見出しをひろってみるだけで,どれほど世の中が狂ってしまったかは,よくわかる。一面から順に,わたしの眼についた「できごと」を拾ってみると以下のとおり。

〇虚偽捜査報告 田代元検事再び不起訴 最高検 嫌疑不十分で終結
 ※これでは小沢一郎も黙ってはいないだろう。国民も黙ってはいまい。これでは東京地検特捜部はなにをやっても不起訴になる。その判例となってしまうのだから。

〇もんじゅ 規定違反新たに65点 「検査済み」点検時期超過
〇冷却水喪失 「燃料問題なし」 敦賀2号機,原電
〇「土の壁」越え汚染水流出 福島第一

〇復興庁,3.4兆円使い残し 事業精査し概算要求

〇東電,原発頼み変わらず 「大幅コスト削減は困難」 あくまで再稼働強調
 ※コストのことしか考えていない東電。税金から莫大な助成金をもらっておいて,なお,再稼働しか考えていない。東電に勤務しているまじめな人びとが哀れにみえてくる。肩身の狭い思いをしているのか,退社する人があとを絶たず。引き止めのために,特別手当てを支給している,としばらく前の新聞にあった。そうして,電気代値上げ。全部,国民にツケをまわす。まずは,会社として自立できていないということを,どう考えているのか,そのことを知りたい。

〇8月値上げ 夏休み直撃 円安,原価高騰 それに猛暑 8月以降に値上げされる主な品目(電気,ガス,冷凍食品,牛乳,自転車,魔法瓶・水筒,調理器具,ファイル,玩具,格安航空運賃,海外旅行)

〇ネット飛び交う震災デマ 拡散ツイッターで瞬時 反論伝えるシステムを

〇論文データ操作 学術研究への裏切りだ(社説)・・・・医療品研究などの論文にデータ操作や捏造の不正が相次ぎ発覚した。公的研究費の架空請求事件で,東大教授も逮捕された。科学者の不祥事は社会の信頼を揺るがす。
〇全柔連改革 未来が問われている(社説)・・・・国の介入に追い詰められて会長らの退陣前倒しとなった全日本柔道連盟(全柔連)。最後まで自浄能力さえ示せなかったその姿は,競技団体に見られがちな根深い問題体質を象徴している。

〔こちら特捜部(『東京新聞』の話題のページ)から〕
〇失業率3.9%に改善というが・・・・ ●「非正規」が増加 ●低賃金化も進行 ●就職断念含めず 労働組合「雇用の質は劣化」
〇捏造,改ざん 相次ぐ科学者の不正 研究費には業績 競争モーレツ 成果主義でプレッシャー
〇「結果」出したい構造,閉鎖的な研究室 絶対的なトップ 口閉ざす若手 「悪質なら追放」意識を まず倫理,監視機関必要

〇虚偽報告書元検事再び不起訴 結論ありき 疑念 最高検「身内」捜査甘く OB指摘 第三者関与必要だった
〇令状なしで車にGPS付け尾行 兵庫県警

〇ブラック企業から救え 弁護団が支援へ
〇カネボウ被害 対応の遅れ批判 消費者庁 症状申し出8631人に
〇投資詐欺被害31億円に 新たに4容疑者逮捕 30人を再逮捕

 とまあ,こんな具合である。途中で書いていていやになる。なぜなら,いっぱいあるぞと思ってはいたが,じつはこんなに多いとは思わなかったからである。これを書き写しながら,情けなくなってしまった。しかし,これらが少なくとも8月1日の『東京新聞』朝刊が伝える,困ったできごとのニュースの実態なのである。

 こんなところでいい訳はしたくないが,全柔連のできごとなど「小さい,小さい」。柔道問題は,いざとなったら,公益法人の認可を国が取り消せばいいのだ。そして,むかしのように0(ゼロ)からやり直せはいいのだ。それが一番の薬。ここで助けてしまうと,ますます甘くなる。

 それに引き換え,原発の事故処理の不手際や,もんじゅの点検のずさんさ,これらは人間の命にかかわることだ。また,東京地検特捜部の虚偽調査報告書の作成が不起訴になるということは,裁判制度の根幹にかかわる重大事だ。検察の提出する取り調べ書そのものを疑ってかからなくてはならなくなる。ボイスレコーダーの持ち込みが拒否される「取り調べ」の方法もまた,わたしには理解不能である。これでは,最初から「犯人はお前だ」の取り調べだ,としかいいようがない。

 それと同じことが,科学者や学者の間でも起こっている。論文の改竄,捏造,研究費の不正請求,などまことにお粗末。人間として「自立/自律」できていない。こういう人を雇った各機関の人事委員会はなにをやっていたのか,猛省とお詫びをすべし。ここもまた形骸化していることを,一部,わたしは知っている。

 人間が,根源的なところで壊れてしまっている。経済,経済で押し切った安倍政権も,やはり,根源的なところで壊れてしまっている。人の命よりも経済を重視するとはどういうことなのか。経済学のはじまりは,もともと人の命を守る,つまり,人の生存を守る,すなわち,暮しを守る(家政)が起源だった,と西谷修さんから教えてもらったことがある。その経済が一人歩きをはじめ,人間の生存どころか,カネという数字が一人歩きをはじめ,とうとう,人間の身体までが「金融化」され,売買の対象にまでなってしまった。

 ジャン=ピエール・デュピュイは「わたしたちは破局を生きている」と喝破している(『ツナミの形而上学』嶋崎正樹訳,岩波書店,『経済の未来』世界をその幻惑から解くために,森元庸介訳,以文社)。西谷修は「破局は未来にあるべきはずなのに,すぐ目の前にある」と書いている。わたしたちは,いま,まさに「破局」を視野に入れてものごとを考えなくてはならない,としみじみおもう。その第一歩が「脱原発」以外のなにものでもない,とわたしは考える。そこから,すべてを出発させないことには,人類に未来はない。  

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