2014年6月16日月曜日

新国立競技場にストップをかけるための関門のひとつは「景観審議会」(新宿区と渋谷区)。

 昨日(15日)の神戸からの帰えりの新幹線の中でうとうとしていたら,突然,携帯が「ホウホケキョ」と鳴きました。友人のNさんから。「いま,どこ?」「新幹線のなか」「どの辺?」「琵琶湖の辺り」「新国立競技場に関するシンポジウムがあるので,詳しい情報はメールで。ネットで流れるはず」「あ,ありがとう」。

 帰宅してすぐパソコンを立ち上げ,Nさんからのメールを確認。アドレスが書かれていたので,すぐにクリック。前半はすでに終わっていましたが,後半を視聴することができました。前半の槙文彦さんと森山高志さんが視聴できなかったのは残念ですが,後半だけでもたいへんいい勉強になりました。司会は森まゆみさん。

 主催は市民団体「神宮外苑と国立競技場を未来へ手わたす会」。今日(16日)の新聞によれば,このシンポの概要は「会」のホームページで閲覧できる,とのことです。ネットでこのシンポを中継したのは「IWJ」。たぶん,しばらく経てば(整理がつけば),IWJのホームページから,シンポの全容を流してくれるのではないかと思います。これまでの重要な記者会見やシンポのほとんどがこのホームページで視聴することがてきます。

 さて,わたしが視聴できた範囲でのツボを紹介しておきたいと思います。

 一つは,新国立競技場の基本設計を承認するかどうかを決める最後の関門は「景観審議会」だということ。この「景観審議会」は新宿区と渋谷区の両方の区に設置されていて,それぞれに審議が行われるとのこと。これまでは,東京都が「景観審議会」を設けて,新しく建てる大きな建造物についてはすべて「景観チェック」をしてきたのですが,いまは,それが各区に下ろされて,個別に審議を行うのだそうです。で,この新国立競技場の建設予定の敷地が,新宿区と渋谷区の二つの区にまたがっているために,両方の区の「景観審議会」でそれぞれに審議する,というのです。

 さて,そこで問題になるのは,神宮外苑の風致地区の高さ制限が15mから75mに変更になった手続が,コンペ結果のあとに行われた「後追い」変更であった,という点。しかも,一気に「5倍」もの高さを承認したことの異常さです。せめて「倍」の30mくらいならまだしも,いきなり75mまで引き上げる根拠は,少なくとも「景観」という観点からはでてきません。ここのところを「景観審議会」はどのように判断するか,というきわめて常識的な厳正さが求められているというわけです。ごくふつうの「常識」を最優先にして審議していただきたいものだと思います。

 もう一点は,地域住民がどのようにこの「景観」問題を受け止めているのか,ということが大きなポイントになるとのこと。ここで大きな住民反対運動が起きると,IOCも慎重を期することになる,ということです。その理由はあとで触れます。ですから,まずは,地域住民の反対運動がこれからどのように立ち上がってくるか,これが大きなキー・ポイントとなるということです。ここはなにがなんでも,新宿区と渋谷区の区民のみなさんに頑張ってもらいたいところです。方法は,区および区長,区議会および議員,景観審議会委員あてに,嘆願書を提出すること,そして,区民集会を開き,意志表明の行動を起こすことだ,とのことです。もちろん,区民以外の人も個別に,あるいは,団体として,嘆願書を提出することも必要です。

 もう一点は,IOCへの働きかけです。IOC憲章は,1990年に策定したアジェンダで「スポーツ・文化・環境」の三つを重視することを決定し,公開され,このIOC憲章のアジェンダがこれまでも大きな力をもってきました。このアジェンダに違反する場合には,積極的にIOCが関与し,改変を求めてきたという実績をもっています。しかも,今回の新国立競技場の基本設計は,このアジェンダで指摘している「環境」に違反しているとシンポジストの一人,原科幸彦さんは主張しています。のみならず,原科さんはIOC会長宛に,抗議文を送ったと発言されていました。そして,これからも新しい事実が明らかにされ次第,その事実をIOC会長に直訴するつもりだと断言していました。

 ここにはとてもすべてを書くことはできませんが,あとは,IWJの流すこのシンポジウムの全容をご確認ください。新国立競技場の建造をめぐっては,まことに信じられないような手続の隠蔽やごまかしや,常識はずれの会議(議事録)やが入り乱れている実態も,このような専門家集団の調査・研究をとおして明らかになってきています。「めちゃくちゃなプロセス」(原科)に怒りを覚えるとも。その根拠に,愛知万博のときに深くかかわり,徹底して手続論を主張し,議論を何回もやり直し,みんなが合意にいたるまで全員が努力した,そのときはこういう経過をたどったというサンプルを提示されています。

 まずは,わたしたちも一人ひとりのレベルから意思表明をしていくことが肝要だと,このシンポを視聴して思いました。そして,まずは,両区の「景観審議会」にプレッシャーをかけることからはじめることだ,と。

 まもなく,IWJでこのシンポが流れると思いますので,わたしも,もう一度,全容を確認したいと思っています。みなさんもぜひ視聴してみて,考えをまとめてください。その上で,どのような行動をとるかは一人ひとりの自由です。少なくとも,考えるところまではお願いいたします。
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