2014年6月19日木曜日

新国立競技場の基本設計の説明資料に「誤記」とJSCが公表。ほんまかいな?

 政権が暴走をはじめたせいか,いよいよ国としての骨格がぐらつきはじめている。それはなにも今に始まったことではないが・・・・。あえて指摘するまでもなく,経済産業省・東電を筆頭に,官庁も病院も大学も,ありえない「誤り」の事後報告が相次いでいる。かつては,ほんの例外でしかなかった不祥事が,いまや日常化してしまっている。もはや,どこもかしこも信用できない世の中になってしまった。情けないことに・・・。

 いま話題になっている新国立競技場の建造をめぐる「疑惑」もまた同様である。とりわけ,コンペの審査段階からこんにちまでの審議の過程も疑惑だらけである。そのことが,専門家たちの監視のもとで,つぎつぎに明らかになってきている。詳細ははぶくが,もはや,ありえないことが堂々と表通りを闊歩している。しかも,この案件は文部科学省の下部組織であるJSC(日本スポーツ振興センター)が取り扱っており,そこでの不祥事の連鎖である。

 今回は,新国立競技場の基本設計の説明資料に「誤記」があったと,その資料作成責任者であるJSCが18日に公表した,と東京新聞が報じている。しかも,その「誤記」が取り壊しが予定されている現国立競技場の「高さ」の表記にあった,というのである。それも,表記の誤りを見つけた建築史家の松隈洋京都工芸繊維大学教授の指摘を受けて,JSCは調査し,測量の結果,訂正した,というのである。

 もう,あきれ果ててものも言えません,という気分である。いな,怒り心頭に発する思いだ。


 なぜなら,この「誤記」には確信犯的な匂いがふんぷんとしているからだ。
 それは,上の新聞の切り抜き写真を見ていただければ,だれの眼にも明らかだ。

 たとえば,新国立競技場の高さは「約62m」と表記されていること。これが審議資料として用いられたというのである。いま,一般に公表されている高さは「約70m」。

 もっと酷いのは,現国立競技場の高さ表記である。訂正前の約56mが訂正後は52.32m(照明塔),そして,スタンドの高さは訂正前約31m,訂正後は27.76m。

 これが「誤記」だというのである。JSCの説明は,「過去の資料を基に3年前に作製した図面にミスがあり,今回も見逃した」というのである。

 まるで,「3年前に作製した図面」のせいだ,といわぬばかりである。では,3年前にだれが,どういう目的でその図面を作製したのか,それをだれもチェックしていなかったのか。しかも,3年間,その図面がなんらかの目的で用いられてきたというのであれば,その責任をこそ追求すべきではないのか。しかも,今回もまた,審議資料として使用済だ。この間違った資料にもとづいてくだされた判断は御破算にして,もう一度,審議をやり直すべきではないのか。

 それにしても,訂正前と訂正後の「誤差」が大きすぎる。こんな杜撰な図面管理がなされてきたとすれば,それこそ大問題だ。しかも,基本設計の承認を求めるための説明資料の「誤記」である。そこには,どう考えてみても「意図的な改竄の意志が働いていた」としか思えない。それを隠すために,過去の図面の誤りに責任を転嫁しているのではないか,と。

 もし,ほんとうに過去の図面作製の誤りだとしたら,そんな杜撰な管理しかできないJSCという組織そのものの能力が問われることになる。こんな杜撰な組織体が東京五輪開催のために,きわめて重要な役割をはたすことになっているのだ。しかも,文部科学省の直下の組織体である。こんなことでは,東京五輪開催もお先真っ暗としかいいようがない。

 ここは,やはり,振り出しに戻って,現国立競技場の改築案で治めるべきではないか。新宿区と渋谷区の「景観審議会」が良識を発揮し,しっかりとした議論を積み上げていく,その踏ん張りを期待したい。しかも,その議論は公表して欲しい。つまり,公表できるような内容のある議論を積み上げて欲しい,ということだ。

 これからも見張りをつづけたい。

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