2014年6月5日木曜日

もう一度問う。新国立競技場の建造は安藤忠雄氏ひとりの判断に委ねてしまっていいのか。

 建築関係の圧倒的多数の専門家たちが「異」を唱え,再考を促している新国立競技場の建造について,文部科学省およびその下部組織であり事業主体である日本スポーツ振興センター(JSC)は,たったひとりの建築の専門家安藤忠雄氏の判断にゆだねて,それを「是」とし,このまま突き進もうとしています。こんなことが平然と行われようとしているこの国はいったいどうなってしまったというのでしょうか。

 いったい,2020年の東京五輪はだれのためのものなのでしょう。

 東京都民の声も国民の声もいっさい無視して,権力の中枢にいる人びとの独断専行が,当たり前のような顔をしてまかりとおろうとしています。この手法は安倍晋三政権の強引なやり方と瓜二つです。取り返しのつかない「暴走」による「つけ」は,のちにおおきな負担となって全部,国民に跳ね返ってきます。そんなことが眼にみえているにもかかわらず,建築関係の専門家である「識者」たちの声はもとより,国民の声にもまったく耳を貸そうともしません。

 予定よりも大幅に遅れていた新国立競技場の基本設計案が「有識者会議」で承認され,決定し,発表されたのが,5月28日。これによってJSCのホームページに掲載され,初めて基本設計案なるものが閲覧可能となりました。そして,ふたたび,建築関係の専門家たちは,こんどは具体的な内容に踏み込んだ上で,問題点を指摘し,大いなる「異」を発信しはじめています。

 しかし,新聞・テレビといった大手のメディアのほとんどは,反対の声を取り上げようともしません。政府に「右へ倣え」(自発的隷従)をして,こちらもまた「無視」です。しかし,国民の側からの声を自由に発信できるインターネットはそうした「暴挙」を許してはいません。ためしに「新国立競技場」で検索をかけてみてください。驚くべき人びとが声を挙げている実情を知ることができます。しかも,著名な建築の専門家たちが「実名」で,どこに問題があるのかを具体的に,しかも微に入り細にわたって提示しています。ぜひ,ご覧になってみてください。

 そのなかのお一人である森山高至氏が,6月4日の東京新聞・夕刊に「新国立競技場」「基本設計発表を受けて」「開く屋根がはらむ問題」という見出しのもとで,限られた紙面にもかかわらずわかりやすく問題の所在を明らかにしてくれています。その森山氏の主張の「さわり」の部分だけでも,以下に紹介しておきたいと思います。

 「新競技場の基本設計は建築物の災害時安全性と法体系の根幹を脅かすものとなっている」。
 「大規模施設,災害拠点施設としては不適切どころか「屋根としては」建築基準法違反となってしまう。そのため,まったく屋根でありながら「開閉式遮音装置」という呼称をつけた。これは詐称ではないか」。
 「さらに問題なのは,「遮音装置」を名乗りながら,遮音性能など無きに等しい」。
 「そのような重大な問題をはらみながら,その点をまったく指摘せず,さらには承認したという有識者会議の唯一の建築専門家,安藤忠雄氏には猛省を促したい」。
 「有識者会議は今すぐにその承認を撤回するべきである」。

 この新聞記事はもとより,森山高至氏のホームページに入ってみると,この新国立競技場の基本設計案がいかにでたらめなものであるか,ということが素人のわたしにも読んでいて恐ろしくなるほど伝わってきます。こんな建造物が国家的事業として,これから展開しようとしているのです。

 しかも,ネット上を流れている情報によれば,良識あるゼネコンはどこも手を挙げないだろう,といいます。それほどに危険がいっぱい,違法がいっぱい,詐称がいっぱい,だから,まともな人間であれば近寄らないだろう,と。となると,下請けのまたその下請け・・・・という具合にどんどん「下」に押しつけられていくことになります。なんだか,原発の作業現場を彷彿とさせます。

 これがいま進行中の現実です。いまからでも遅くはない,なんとか声を大にして,わたしたちの声をとどける努力をしていかなければ・・・・と焦っています。
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