2013年3月2日土曜日

IOC評価委員長がやってきた。都民の支持率は大丈夫か。

 「3・11」以後の憂鬱の度合いがここにきてもっとひどくなってきた。もはや,うつ病と診断されてもおかしくない。毎朝,新聞を開くたびに,その病いは進行していく。落ち込んでいく記事ばかりだ。いっそのこと世俗を捨てて,どこぞの禅寺にでも飛び込んで,修行三昧の生活に入りたい,とさえ思う。もう少し若かったら,せめて,50歳前後だったら,わたしは間違いなく実行しただろう。しかし,もはや手遅れだ。それだけの体力も気力もない。仕方ないので,ときおり,「躁」を装い,明るくふるまうふりをしてごまかすことに。そうやって,なんとかバランスをとろうとしている。わたしのこころは,いま,躁と鬱の間を行ったり来たり。まさに「abさんご」状態。

 補正予算案が1票差で決まった。日本国が,いま,綱渡り状態にあることの象徴だ。つまり,aにもなり,bにも転ぶ,どちらにもなりうる,そういう状態にある。まさに「abさんご」。

 TPP問題も,自民党も民主党も党が割れるほどの賛否両論の議論がつづいている。この議論も票決してみれば,1票差くらいになりかねない。つまり,どちらに転ぶかわからない「abさんご」だ。にもかかわらず,アベノミクスはがむしゃらにTPP参加への路線を模索し,強行突破しようとしている。いやいや,それどころか,もはや,既定路線となりつつある。

 今日(3月2日)の新聞によれば,エネルギー基本計画を検討する有識者会議の新たな委員15人を経済産業省が発表し,そのうち「脱原発」を鮮明にしている委員は2人だけ,という。これまで5人いた委員のうち3人は外されたというのだ。その代わりに推進派の委員が補充された。これで推進多数で押し切る体制はできあがった。原発の最終処理の方法も確立されないままに。またぞろ,人の命は軽視される方向に舵が切られる,その準備がととのった・・・と。こちらも,いま,国民投票をすれば,どちらに転ぶかわからない「abさんご」。

 こんな情況のなか,IOC評価委員長が来日。これから4日間にわたって,競技施設や財政,輸送,宿泊施設など開催能力をチェックするという。他の立候補都市にくらべて,東京のネックになっているのは都民の支持率。前回はそこでつまずいた。しかし,1月に東京の招致委員会が電話で調査した結果では,73%が支持しているという。ほんとうだろうか,とわが眼を疑った。こんな数字がどうしてでてくるのか,いささか驚きである。

 はたして,今日(2日)の新聞の読者投書欄に,(東京オリンピック)「招致賛成」73%に疑問,が載っている。短いので転載しておくと,以下のとおり。
 昨年,中野区の町会連合会の会合で,2020年夏季五輪の東京招致支持を拡大し協力しようと,各町会ごとに署名活動を実施することになった。
 通常,署名活動は街頭や催し物会場で呼び掛ける。私たちの町会でも役員から,町民に回覧して署名を集めるのは個人の自由意思が損なわれ,少し筋が違うのではないかとの意見が出た。確かに回覧だと「あの家が署名したので」とか「あの家はしなかった」と,なってしまう。
 そこで,ポスターに「五輪招致」に賛同される方は〇〇店に署名簿がありますので〇日までに面倒でも署名にお越しください」と書き足し掲示板に貼った。ところが,署名には一人も来なかった。
 一方,東京の招致委員会が一月に電話で都民に行った世論調査では「招致に賛成」が73%に達したという。
 方法が違うので何とも言えないが,約五百人いる私たちの町会のうち,三百五十人以上が,都民約千三百万人のうち約九百五十万人が賛成した計算になる。本当か?(無職 宮沢武志・68・東京都中野区)

 この投書はいろいろのことを考えさせてくれる。ここから読み取れることは,積極的に「招致賛成」という人は一人もいないということ,署名活動を提案した町会の役員さんのなかにも一人もいないということ,それが電話による聞き取り調査では,73%が招致賛成と意思表明しているということ,つまり,積極的に反対する人もほとんどいないということ,どちらでもいいが悪いことではないので賛成という人が圧倒的多数を占めるということ,など。

 前回の招致のときのIOCの調査結果は55%だった。時代が大きく変わり,都民の意識が変わったとも思えない。違いは調査方法。つまり,この手の調査は方法一つでいかようにも数字は変化する。電話で上手に誘導尋問的に声をかけられれば,数字はたちまちよくなるだろう。アンケート調査でも,誘導尋問的な設問をしかければ,数字はよくなる。問題は,調査方法がどこまで客観的かによる。

 つまり,招致賛成(a)も,招致反対(b)も,どちらでもない(c)も,たいして意味はないのだ。そのときの風の吹きようで,どのようにも変わる。この手の調査によって導き出される数字をわたしはまったく信じるつもりはない。被調査者として受け答えをしてきた経験からの信念だ。

 ある地方都市に住んでいたときのことだ。市役所からのアンケート調査が配られ,住まいの近くにテニス・コートがあった方がいいですか(a.はい,b.いいえ,c.どちらでもない),といったような設問が並ぶ。記入していて,途中で吹き出してしまった。いつのまにか,a.はい,にばかり〇をつけている自分に気づいたからだ。が,この調査結果は集計されて,市議会に資料として提出され,「圧倒的多数の市民がテニス・コートの設置を望んでいる」と報告されたそうだ。その結果,立派なテニス・コートが設置された。しかし,半年も経たないうちに草だらけになっていた。

 aの賛成の仲間に入るのか,bの反対の仲間に入るのか,と逢う人ごとに聞かれたが,いつしか東京の隣県(c)に引っ越すことになっていた。

 まさに,日本国/日本人は「abさんご」の世界を浮遊しているようだ。

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