2012年5月24日木曜日

雑誌『SF』での連載「絵画にみるスポーツ施設の原風景」の締め切りが近づく。

『SF』なる雑誌に,隔月で「絵画にみるスポーツ施設の原風景」という見出しタイトルで連載を担当している。その必要もあって,「絵画」にはいつもアンテナを張っている。そして,その絵画がスポーツ,あるいは,スポーツ的なるもの,となんらかの関係がないかと眼を見はらせている。存分に楽しみながら。

いま,『SF』と書いてみて,自分でも驚いたのだが,どう考えたって「SF小説」の「SF」を思い浮かべてしまうのが自然だ。しかし,ここでいう『SF』は,それとはまったく関係がない。この雑誌は「スポーツ施設」を扱う専門誌なのである。つまり,Sports Facility の頭文字をとった「SF」だ。

このネーミングについては,わたしも少なからぬご縁がある。ずっと長い間,月刊『体育施設』(体育施設出版)として刊行されてきた。その時代には,わたしは「文学にみるスポーツ」という連載をやらせてもらっていた。わたしの長年の仕事の一つである「文学のなかにスポーツを読む」シリーズは,この連載から生まれた。もう,20年以上もの長いお付き合いである。

そういうご縁もあって,いまの担当編集者の五味亜矢子さんが訪ねてきて,雑誌をおおはばにリニューアルしたいのだが,なにかいいアイディアはないか,という。それで,わたしは迷わず第一声で「体育施設」という名前をやめませんか,「スポーツ施設」の方がはるかに若者受けすると思いますが・・・と提案。五味さんも,わたしもそう思う,と言って帰っていった。

それから数カ月して,月刊『体育施設』が完全にリニューアルされ,なんと月刊『SF』という雑誌になって送られてきた。これには驚いた。もちろん,大きな文字の「SF」のすぐ下に小さく「Sports Facility」と書いてあるので,なるほどとは思う。しかし,それにしても思い切ってそこまでやるか,と感心してしまった。意外に五味亜矢子さんという編集者は大胆な人だなぁ,と感無量。みかけは大人しげな優しい女性なのだが・・・・。

でも,どうなのだろう? 書店のスポーツ雑誌が並んでいる棚に『SF』と書いてあったら,「なんで?」と思うのが普通ではないだろうか。そして,よほどの「SF」ファンでないかぎり,スポーツ・コーナーに置いてある雑誌『SF』に手を伸ばすこともないのでは・・・,などと想像している。むしろ,素直に『スポーツ施設』と背に書いてあれば,ちょっと手を出してめくってみるということも,わたしならするだろうなぁ,と思ったりしている。

もっとも,この雑誌はもともと各県の教育委員会や公立の体育施設(スポーツ施設)関係者に向けて発行されているものなので,すでに一定の読者を確保している。最初にこの雑誌を立ち上げたころには,「体育施設」がもっともとおりがよかったはずである。たぶん,県議会や市議会の予算申請などの用語としても「体育施設」が公用語として通用していた,という背景もある。

が,もうすでに,かなり長い期間がすぎているので,行政用語としても「体育施設」よりは「スポーツ施設」の方がとおりがいいはず。しかし,この雑誌に関していえば,いまではすっかり『SF』で定着しているようだ。

A4サイズの,オールからーで,上質紙を用いたとても贅沢な雑誌である。文字どおり,スポーツ施設に関する時代の最先端の情報が満載である。だから,めくっているだけでも楽しい。それにしても,スポーツ施設というものは,この20年ほどの間にどれほど様変わりしたことだろう。この雑誌のバックナンパーをめくりながら,そこに掲載されている写真をみるだけで,その進化の様子が手にとるようにわかる。スポーツ施設に関するテクノロジーはどこまでいくのだろうか,と心配になるほどだ。そんなことを感じながら雑誌をめくるだけでも,この雑誌は面白い。

が,こんな雑誌に,わたしは「文学にみるスポーツ」を20年以上も連載し,そして,いま,また「絵画にみるスポーツ施設の原風景」を連載している。ありがたいことである。お蔭で,絵画の方のアンテナもずいぶん高くなってきた。面白そうな美術展があると,必ず足を運び,堪能した上で『図録』(カタログ)を買って帰ることにしている。そうした『図録』だけで,いまでは,相当の部数になっている。それは驚くほどだ。

ちょっとした空き時間に,これらの『図録』を眺めるのは,とても楽しいし,気分転換にもなる。しかも,大いに勇気づけられる。なぜなら,一つひとつの作品に力があるから。そして,それぞれのアーティストの生きざまが迫力満点だから。

その「絵画にみるスポーツ施設の原風景」の原稿の締め切りが今月末である。そろそろ気がかりになってきたので,今日も何冊かの『図録』をめくっていた。いつものことだが,そのつど,大いなる発見があって楽しい。

その話を,このつづきとして書いてみたいとおもう。
今日は,とりあえず,ここまで。

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