夏は得意だ,暑いのは平気だ,と嘯いてきたわたしですが,三日連続39℃を超えたという山梨県甲府市のニュースを聞くと,これはたいへんだとすっかり考え込んでしまいます。なにせ,相手が自然現象ですので,だれが悪いでもない,じっと我慢するしかないのですが,それにしても・・・・・。とついつい同情してしまいます。この猛暑がそんなに長くはつづくはずもない,と言ったところで自然のやることはわたしたちの理解をはるかに越えています。
こんなニュースを聞いていたら,ふと,10年前のイタリア旅行のことを思い出してしまいました。2003年の3月から半年間,ドイツ・スポーツ大学ケルンの客員教授として招かれ,契約の授業がすべて終ってようやく迎えた夏休み。家族でスイスの友人宅に何泊かして,そのあとイタリアに向かいました。そうして乗り換えのためにミラノ駅に降り立ったときのことです。ここまでの列車はスイスの列車で,エアコンも効いていて快適。窓から眺める景色は抜群。深い山の中を何回も大きく曲がりながら,やっと平野にでたら,そこがミラノの駅でした。そこからはローマ行きの列車に乗り換えです。喜び勇んで列車から降り立ちました。
とたんに異様なものを感じました。メラッと炎に舐められたのではないか,と思わず周囲を見渡してしまいました。まわりの建物が左右にゆらゆら揺れているように見えました。蜃気楼現象のように。しばらく,これはなにごとぞ,と考えてしまいました。いままで経験したことのない熱風が吹いていたのです。それも,けたはずれの熱風でした。これは尋常ではない,と直感しましたので,すぐに温度計がどこかにあると思って探しました。すると,駅舎の正面の時計の下に温度表示がデジタルででていました。なんと「40℃」とあるではありませんか。一緒にいた娘に,あれを見ろ,こんなところに長居は無用,すぐにレストランに入ろう,と思わず走り出していました。
ですが,駅舎のなかのどのレストランもカフェもみんな満員。当然です。みんな逃げ込んでいたのです。まあ,当然といえば当然。わたしたちの乗る列車までは約1時間あります。ウェイターのお姉さんに事情を話して頼みこむことに。偶然,いい人に当たったようで,「大丈夫,すぐに席は空くから,ここで待っていなさい」と言って観葉植物の間に小さな椅子を出してくれました。なるほど,みんなつぎの乗り換え列車を待ちながら「一時避難」していたのです。ですので,つぎの列車の発車時刻が近づくとぞろぞろとお客さんはでていきます。
まあ,これでなんとかことなきを得ましたが,そのあとがたいへんでした。レストランの中はとても快適。お茶で済ませてしまうのも悪いと思い(このあたりはとても日本的だと,あとでイタリアの友人に笑われてしまいました),定食を頼んで,ビールも頼みました。すぐに時間は過ぎて,さきほど確認しておいた5番線の列車に向かいました。席はがらがらで,まずは安心。しかし,エアコンつきの列車ではありませんでした。ですから,窓を開け放って,風を待つしかありません。しかし,風はかなり強く吹いているのですが,それが熱風。
列車が動きはじめても,窓は開けっ放しで,こんどは猛烈な熱風がものすごい勢いで吹き抜けていきます。あっという間にからだ中の水分がどこかに吹き飛ばされていきます。まさかエアコンなしの列車とは思ってもいませんでした。が,いずれにしても水は必要と思って,一人一本ずつ買って列車に乗り込みました。が,この一本があっという間になくなってしまうのです。あとは,目的地のモデナ駅まで我慢。しかし,不思議なもので,モデナ駅に降り立ったときには,もう,それほど暑さを感じなくなっていました。慣れるというか,適応するというか,人間のからだはまことによくできているなぁ,とわれながら感心してしまいました。
でも,のどはカラカラ。駅を降りてすぐに売店を探しました。そこに,友人がにっこりと笑って歓迎してくれていました。さすがに賢い子(女性・娘の友人)で,冷えた炭酸水を3本差し出し,まずは,これを飲みなさい,と。夕方から夜にかけてはすっかり涼しくなり,暑さから解放され,ほっとしました。「40℃」の気温を全身で感じながら,数時間を列車のなかで耐え忍びました。じっと,坐っているだけで,これはたいへんなことだ,と感じていました。家族のだれかが異常を訴えないように・・・と神にも祈る気持ちでした。ときおり,娘の顔を観察しながら,なんとか耐えてくれ・・・と。
この年のイタリア北部は猛暑がつづいていたようです。このあとローマに滞在した三日間もかんかん照り。どれほどの水分を補給しながら歩いていたことか,いまから考えると想像を絶するものがありました。でもまあ,無事に楽しい旅がつづけられたのですから,丈夫なからだに生んでくれた親に感謝あるのみです。
こんなことを考えながら,山梨県の人びとをはじめ,館林,熊谷,名古屋などの地名をニュースで見て,さぞやたいへんな日々を送っていらっしゃるのだろうなぁ,とわが経験に引き受けて考えていました。明日からいくらか気温は下がるとか,さきほどのニュース。でも,猛暑に変わりはないとのこと。猛暑つづきの人びとにこころからお見舞いを申しあげます。どうぞ,あらゆる智慧をしぼって,この猛暑を乗り切ってください。
ということで,今日のブログはここまで。お互いに気をつけましょう。
こんなニュースを聞いていたら,ふと,10年前のイタリア旅行のことを思い出してしまいました。2003年の3月から半年間,ドイツ・スポーツ大学ケルンの客員教授として招かれ,契約の授業がすべて終ってようやく迎えた夏休み。家族でスイスの友人宅に何泊かして,そのあとイタリアに向かいました。そうして乗り換えのためにミラノ駅に降り立ったときのことです。ここまでの列車はスイスの列車で,エアコンも効いていて快適。窓から眺める景色は抜群。深い山の中を何回も大きく曲がりながら,やっと平野にでたら,そこがミラノの駅でした。そこからはローマ行きの列車に乗り換えです。喜び勇んで列車から降り立ちました。
とたんに異様なものを感じました。メラッと炎に舐められたのではないか,と思わず周囲を見渡してしまいました。まわりの建物が左右にゆらゆら揺れているように見えました。蜃気楼現象のように。しばらく,これはなにごとぞ,と考えてしまいました。いままで経験したことのない熱風が吹いていたのです。それも,けたはずれの熱風でした。これは尋常ではない,と直感しましたので,すぐに温度計がどこかにあると思って探しました。すると,駅舎の正面の時計の下に温度表示がデジタルででていました。なんと「40℃」とあるではありませんか。一緒にいた娘に,あれを見ろ,こんなところに長居は無用,すぐにレストランに入ろう,と思わず走り出していました。
ですが,駅舎のなかのどのレストランもカフェもみんな満員。当然です。みんな逃げ込んでいたのです。まあ,当然といえば当然。わたしたちの乗る列車までは約1時間あります。ウェイターのお姉さんに事情を話して頼みこむことに。偶然,いい人に当たったようで,「大丈夫,すぐに席は空くから,ここで待っていなさい」と言って観葉植物の間に小さな椅子を出してくれました。なるほど,みんなつぎの乗り換え列車を待ちながら「一時避難」していたのです。ですので,つぎの列車の発車時刻が近づくとぞろぞろとお客さんはでていきます。
まあ,これでなんとかことなきを得ましたが,そのあとがたいへんでした。レストランの中はとても快適。お茶で済ませてしまうのも悪いと思い(このあたりはとても日本的だと,あとでイタリアの友人に笑われてしまいました),定食を頼んで,ビールも頼みました。すぐに時間は過ぎて,さきほど確認しておいた5番線の列車に向かいました。席はがらがらで,まずは安心。しかし,エアコンつきの列車ではありませんでした。ですから,窓を開け放って,風を待つしかありません。しかし,風はかなり強く吹いているのですが,それが熱風。
列車が動きはじめても,窓は開けっ放しで,こんどは猛烈な熱風がものすごい勢いで吹き抜けていきます。あっという間にからだ中の水分がどこかに吹き飛ばされていきます。まさかエアコンなしの列車とは思ってもいませんでした。が,いずれにしても水は必要と思って,一人一本ずつ買って列車に乗り込みました。が,この一本があっという間になくなってしまうのです。あとは,目的地のモデナ駅まで我慢。しかし,不思議なもので,モデナ駅に降り立ったときには,もう,それほど暑さを感じなくなっていました。慣れるというか,適応するというか,人間のからだはまことによくできているなぁ,とわれながら感心してしまいました。
でも,のどはカラカラ。駅を降りてすぐに売店を探しました。そこに,友人がにっこりと笑って歓迎してくれていました。さすがに賢い子(女性・娘の友人)で,冷えた炭酸水を3本差し出し,まずは,これを飲みなさい,と。夕方から夜にかけてはすっかり涼しくなり,暑さから解放され,ほっとしました。「40℃」の気温を全身で感じながら,数時間を列車のなかで耐え忍びました。じっと,坐っているだけで,これはたいへんなことだ,と感じていました。家族のだれかが異常を訴えないように・・・と神にも祈る気持ちでした。ときおり,娘の顔を観察しながら,なんとか耐えてくれ・・・と。
この年のイタリア北部は猛暑がつづいていたようです。このあとローマに滞在した三日間もかんかん照り。どれほどの水分を補給しながら歩いていたことか,いまから考えると想像を絶するものがありました。でもまあ,無事に楽しい旅がつづけられたのですから,丈夫なからだに生んでくれた親に感謝あるのみです。
こんなことを考えながら,山梨県の人びとをはじめ,館林,熊谷,名古屋などの地名をニュースで見て,さぞやたいへんな日々を送っていらっしゃるのだろうなぁ,とわが経験に引き受けて考えていました。明日からいくらか気温は下がるとか,さきほどのニュース。でも,猛暑に変わりはないとのこと。猛暑つづきの人びとにこころからお見舞いを申しあげます。どうぞ,あらゆる智慧をしぼって,この猛暑を乗り切ってください。
ということで,今日のブログはここまで。お互いに気をつけましょう。
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